2026/5/22
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経済

エア・ウォーター、不正会計で社長交代 社外取締役の千歳氏が6月就任へ

要約

産業ガス大手エア・ウォーターは、グループ会社37社で累計約240億円に上る不正会計が発覚した問題を受け、社外取締役の千歳喜弘氏を新社長に起用すると発表した。

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産業ガス大手のエア・ウォーターは22日、社外取締役の千歳喜弘氏(78)が6月29日付で社長に就任すると発表した。不正会計問題の責任を取り、現社長の松林良祐氏(61)が同日付で社長を退任する。千歳氏は定時株主総会後の取締役会を経て代表取締役に就任する予定である。

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4月の退任発表時は後任未定、1カ月余りで決着

松林氏の社長退任は4月に発表されていたが、その時点では後任は未定だった。約1カ月を経て、社外取締役として経営を監督する立場にあった千歳氏の起用が決まった形である。松林氏は社長退任後、取締役に就任する。

千歳氏はマクセルホールディングス(現マクセル)の社長を務めた経歴を持つ。2022年にエア・ウォーターの取締役に就任し、2026年1月には取締役会議長に就いていた。社外の視点からガバナンス改革を推進する狙いがあるとみられる。

グループ37社で不正会計、累計約240億円規模

エア・ウォーターでは2025年7月、連結子会社の日本ヘリウムでヘリウム在庫を巡る損失の先送りが発覚した。その後の調査でグループ会社37社に不正会計が広がっていたことが判明し、売上収益換算で累計約240億円に達した。

不正の手口は、在庫の過大計上、資産評価の先送り、売上の過大計上・先行計上、不要な取引先を介在させた売上高のかさ上げ、引当金の計上回避、資産性のない支出の資産計上など多岐にわたる。経営トップからの強いプレッシャーや組織的な腐敗が原因と指摘されている。

経営体制の刷新でガバナンス強化を図る

今回の人事は、不正会計の再発防止と経営体制の刷新を目的としたものである。社内出身の松林氏に代わり、社外取締役として経営監督に携わってきた千歳氏をトップに据えることで、ガバナンス体制の立て直しを図る。

松林氏は1988年に大同酸素(現エア・ウォーター)に入社し、2023年4月に社長に就任していた。エア・ウォーターは売上高1兆円超、グループ従業員数約2万人を抱える国内大手企業であり、産業ガスを基盤にヘルスケアやエネルギーソリューションなど幅広い事業を展開している。不正会計問題が企業の信頼回復にどう影響するか、新体制の手腕が問われることになる。