2026/4/1
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国内

筋ジストロフィー遺伝子治療薬「エレビジス」に保険適用、1回約3億円で国内最高額

要約

中医協が承認した「エレビジス」は、全身の筋力が次第に衰える難病・筋ジストロフィーに対する遺伝子治療薬で、1回当たりの薬価は約3億497万円と国内の保険適用薬で過去最高額となった。

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中医協が保険適用を承認

中央社会保険医療協議会(中医協)は、筋ジストロフィーの治療薬「エレビジス」の保険適用を承認した。1回当たりの価格は約3億497万円に設定され、国内で公的医療保険が適用される薬としては過去最高額となる。

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※画像はイメージです

筋ジストロフィーは、全身の筋力が次第に衰えていく難病である。エレビジスは米サレプタ・セラピューティクスが開発し、国内では中外製薬が販売を手がける遺伝子治療薬で、2025年5月に条件・期限付きで製造販売承認を取得していた。

遺伝子治療による新たな選択肢

エレビジスは、アデノ随伴ウイルス(AAV)をベクターとして、正常なジストロフィン遺伝子の短縮版「マイクロジストロフィン」を筋肉細胞に届ける仕組みの遺伝子治療薬である。対象はデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の患者のうち、エクソン8・9欠失がない3~8歳の歩行可能な小児に限定される。投与は静脈内への単回投与で、再投与は行わない。

従来の治療ではステロイド投与が標準的とされ、歩行期間の延長や呼吸機能の維持が主な目標とされてきた。遺伝子治療薬の保険適用は、こうした希少疾患の治療に新たな選択肢をもたらすものとなる。

約3億円の薬価と医療財政への影響

薬価は約3億497万円に設定された。米国では約5億円近い価格がつけられており、日本では米国との価格差を考慮しつつ保険財政への配慮も踏まえた価格となった。

日本の筋ジストロフィー患者数は推計約2万5400人とされるが、エレビジスの適用対象は年齢や遺伝子型などの条件で大幅に絞り込まれるため、実際に投与を受ける患者数は限定的とみられる。投与患者の入院については、薬剤以外も含めたすべての診療行為が出来高算定となる特例措置が2028年度診療報酬改定まで適用される。

一方、安全性をめぐっては、海外でエレビジスを投与された複数の10代患者が肝不全で死亡したとの報告があり、議論が続いている。