2026/4/1
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社会

保護司・新庄博志さん殺害事件、同志の平田さんが語る支援の現場と葛藤

要約

立ち直り支援をしていた保護観察対象者に殺害されたとされる保護司・新庄博志さんの事件を受け、同じ滋賀県で活動する保護司・平田敦之さんが支援の現実と思いを語った。新庄さんが生前に立ち上げた「滋賀KANAMEプロジェクト」の意義にも改めて注目が集まっている。

保護司制度再犯防止更生保護殺人事件滋賀県

支援していた対象者に命を奪われた保護司

立ち直り支援をしていた保護観察対象者に殺害されたとされる保護司・新庄博志さん(事件当時60歳)の事件が、更生保護の現場に深い衝撃を与えている。事件を受け、滋賀県彦根市在住の保護司・平田敦之さん(63歳)が、保護司活動への思いを改めて強くしたことが明らかになった。

Group of people
※画像はイメージです

「一体どこにつなげばいいのか」現場の苦悩

平田さんは保護司として複数の対象者を支援してきた。支援した少年の1人は、その後キックボクシングジムを立ち上げ、若者の居場所づくりに取り組んでいる。一方で、別の男性は職場になじめず金銭的に困窮し、万引きを繰り返すなど、支援の難しさに直面する場面もあった。

平田さんは対象者が抱える複雑な「生きづらさ」について「頭を痛めている」と語り、「専門家や相談機関につなぐ必要がある。でも、一体どこにつなげばいいのか」と自問してきたという。

新庄さんが遺した「滋賀KANAMEプロジェクト」

2023年秋、平田さんは新庄さんに対象者の「生きづらさ」について相談した。新庄さんは「そうですよね」と応じ、「そのために『滋賀KANAME(カナメ)プロジェクト』を始めたんです」と語った。滋賀KANAMEプロジェクトは、新庄さんが立ち上げた滋賀県内の地域ごとの支援ネットワークである。

保護司が対象者の複雑な課題を一人で抱え込まず、地域の専門機関と連携して支援にあたる仕組みを目指したものだった。新庄さん自身が現場で感じた課題意識から生まれたこのプロジェクトは、保護司の孤立を防ぐという理念を掲げていた。

問われる更生保護の在り方

法務省保護局によれば、保護観察中の対象者が保護司を殺害した事例は過去に記録がなく、本件は極めて異例の事態である。全国で約4万6千人の保護司が無給の非常勤国家公務員として犯罪者や非行少年の社会復帰支援を担っているが、十分なリスク管理や支援体制が整っているとは言い難い現状がある。

新庄さんが生前に築こうとした「保護司が孤立しない」支援の仕組みは、事件後の今こそその意義が問われている。