JR宇都宮線トロリ線断線、交換場所の取り違えと検査見落とし――複数の人為的ミスが重なる
要約
断線したトロリ線は直径4.1mmまで摩耗しており、交換限界値の7.7mmを大幅に下回っていた。2023年の目視点検後に誤って別のトロリ線を張り替え、その後のモニタリング検査でも2度にわたり摩耗画像が見逃されていた。
JR東日本は2月17日、2025年2月8日深夜に古河駅(茨城県)付近で発生した宇都宮線のトロリ線断線事故について、原因調査の結果を発表した。トロリ線の交換場所の取り違えと、摩耗を示す検査画像の見落としという複数の人為的ミスが重なったことが断線の原因であると結論づけた。この事故では停電が発生し、約19万人に影響が及んだ。
交換作業で隣接するトロリ線を誤って張り替え
調査によると、2023年4月の目視点検で現場のトロリ線が直径7.9mmまで摩耗していることが確認された。トロリ線は新品時の直径が15.3mmで、8.7mm未満になると交換対象となる。点検結果を受けて約3週間後に取り換え作業が実施されたが、この際に誤って隣接する別のトロリ線を張り替えてしまった。
本来交換すべきだったトロリ線はそのまま使用が続けられ、最終的に直径4.1mmまで摩耗した状態で断線に至った。交換が必要とされる限界値7.7mmを大幅に下回る数値である。
モニタリング検査でも2度の見落とし
JR東日本は2024年4月から、検測車による画像・レーザー測定を用いたモニタリング検査を導入していた。しかし担当者がこの検査で得られた摩耗画像を2度にわたって見逃していたことも判明した。交換作業のミスを補完するはずの検査体制が機能しなかった形である。
JR東日本は再発防止策として「今後は画像を複数で確認するとともに、モニタリングの検査結果から摩耗箇所を自動検出できるよう改善していく」としている。
首都圏JR線で電気トラブルが相次ぐ
首都圏のJR線では2025年1月以降、山手線・京浜東北線・常磐線などで電気トラブルが相次いでいる。山手線・京浜東北線のトラブルについてはすでに人為的ミスが原因と判明しており、今回の宇都宮線も同様の構図が明らかになった。
喜勢陽一社長は「経営の根幹に関わる事態」として謝罪した。JR東日本はコロナ禍で修繕費を2020年度からの3年間で約800億円削減しており、こうした経営判断がインフラ整備の遅延につながったとの指摘もある。喜勢社長自身も「将来のリスクではウィークポイントとなった」と説明している。
目視点検で摩耗を確認
現場トロリ線の直径が7.9mmに摩耗していることを確認。交換対象基準の8.7mmを下回っていた。
交換作業で取り違え発生
トロリ線の張り替え作業を実施したが、誤って隣接する別のトロリ線を交換してしまった。
モニタリング検査を導入
検測車による画像・レーザー測定を開始。しかし担当者が摩耗画像を2度にわたり見落とした。
首都圏JR線で電気トラブル相次ぐ
山手線・京浜東北線・常磐線などでトラブルが続発。山手線・京浜東北線は人為的ミスと判明。
宇都宮線でトロリ線断線
古河駅付近で停電が発生し、約19万人に影響。トロリ線は直径4.1mmまで摩耗していた。
JR東日本が調査結果を発表
複数の人為的ミスが重なったことが断線の原因と結論。再発防止策も併せて公表した。