2026/4/1
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社会

JR宇都宮線の架線断線、3年前に摩耗把握も人為ミスで別の架線を張り替え

要約

2月8日に発生した宇都宮線の架線断線トラブルで、JR東日本は3年前に摩耗を把握していたにもかかわらず、誤って別の架線を交換していたと公表した。一部区間で約17時間にわたり運転不能となり、19万人の利用者に影響が及んだ。

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3年前に摩耗を把握していたJR東日本

JR東日本の宇都宮線で架線が切断するトラブルが発生し、一部区間で約17時間にわたって運転ができなくなった問題で、JR東日本は3年前に当該架線の摩耗を把握していたにもかかわらず、人為的なミスにより別の架線を張り替えていたことを明らかにした。

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※画像はイメージです

トラブルは2月8日午後11時16分ごろ、古河~野木駅間で発生。架線が断線したことにより100か所以上の設備が損傷し、192本が運休、約19万人の利用者に影響が及んだ。JR東日本によると、架線の摩耗は直径4.1mmにまで進行しており、交換が必要とされる限界値の7.7mmを大きく下回っていた。

検査データは正確だったが判断段階で誤り

JR東日本では架線を3か月ごとにレーザー光線で計測し、摩耗データを取得する管理体制を敷いている。今回の問題は、計測データ自体には誤りがなかったものの、そのデータをもとに実際の交換判断を行う段階で社員がミスを犯し、摩耗していた架線ではなく別の架線を張り替えてしまったというものである。結果として、本来修繕すべき架線は3年間にわたり放置された状態が続いていた。

コロナ禍の修繕費削減が背景に

JR東日本はコロナ禍の2020~2022年度の3年間で合計約800億円の修繕費を削減しており、同社の喜勢陽一社長はこれまでに「コロナ禍に修繕費を抑制した」「これからツケを取り戻す」と発言している。喜勢社長は今回のトラブルについて「経営の根幹に関わる事態として重く受け止める」と述べ、削減した修繕費を2026年度末までに段階的に回復させる方針を示すとともに、設備管理プロセスの見直しを進めるとした。

JR東日本では2024年1月にも東北新幹線の上野~大宮間で架線に関する停電トラブルが発生しており、その際も作業員の半数が検査マニュアルを誤認していたことが判明している。大規模な輸送障害が繰り返される中、インフラの保守管理体制の根本的な見直しが求められている。