2026/4/1
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国際

ペルー議会がヘリ大統領を罷免、中国人実業家との癒着疑惑で――3代連続の異常事態

要約

ペルー議会は2月17日、ヘリ大統領を中国人実業家との癒着疑惑を理由に罷免した。ペルーで大統領罷免が3人連続となる異例の事態で、「チーファ・ゲート」と呼ばれるスキャンダルが引き金となった。

ペルー中南米中国政治スキャンダル罷免

就任わずか4カ月、ヘリ大統領が罷免

ペルーで2月17日、ヘリ大統領が罷免された。理由は中国人実業家との癒着疑惑だ。ペルーでは大統領が3人連続で罷免される異常事態が続いており、南米有数の資源国における政治の機能不全が改めて浮き彫りとなった。

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※画像はイメージです

今回の疑惑は「チーファ・ゲート」と呼ばれている。「チーファ」とはペルーで中華料理店を意味する言葉で、ヘリ大統領がエネルギー関連企業などを手がける中国人実業家と、同実業家が経営する中華料理店で複数回にわたり密会していたことが問題視された。さらに、この実業家に大統領府への出入りを許可していたこと、2025年12月30日に国立劇場のコンサートへ同実業家や中国政府系建設企業の関係者を「大統領枠」で招待していたことなども疑惑の対象となっている。

3代連続の大統領罷免という異常事態

ペルーでは近年、大統領の罷免が相次いでいる。2022年にはカスティジョ大統領が弾劾で失職し、2025年10月にはボルアルテ大統領が反政府デモ弾圧や不正蓄財の疑惑で罷免された。そして今回のヘリ大統領の罷免で、3人連続という事態に至った。現在、歴代大統領3人が服役中という状況にもある。

ペルーの政党の多くは「カウディジョ」と呼ばれる個人政治家が支配する構造を持ち、大統領と議会の対立が起きやすい制度的な背景も指摘されている。1992年のフジモリ大統領による憲法改正で上院が廃止され一院制となったことが、こうした対立構造を助長しているとの見方がある。

中国の存在感拡大と地政学的懸念

今回の疑惑で注目されるのは、中国人実業家の関与という点だ。中国は過去6年間、ペルーの最大貿易相手国かつ最大投資国の一つであり、中国企業の直接投資総額は約300億米ドルに上る。ペルー国内には170社以上の中国系企業が存在する。

2024年11月には、首都リマ北方約80キロメートルに位置するチャンカイ港が開港した。総事業費は34億ドル超で、中国遠洋海運集団が権益の6割を保有する。南米のハブ港として機能を開始しており、米国などは中国海軍による港湾利用の可能性を警戒している。

こうした経済的・戦略的な中国の影響力拡大の中で起きた今回の癒着疑惑は、ペルーの政治と外国資本の関係について改めて問題を提起するものとなった。2026年4月12日には大統領選が予定されており、混戦は必至とみられている。