2026/5/16
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経済

TSMC熊本工場が初の四半期黒字、1〜3月期に約47億円の最終利益

要約

TSMCの子会社JASMが運営する熊本工場が、量産開始以来初めて四半期ベースで最終黒字を達成した。2025年12月期に97億台湾ドルの赤字を計上していたが、わずか1四半期で黒字転換を果たした。

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熊本工場、量産開始後初の黒字転換

半導体受託製造の世界最大手・台湾積体電路製造(TSMC)が公表した決算報告によると、熊本工場を運営する子会社JASM(Japan Advanced Semiconductor Manufacturing)が2026年1〜3月期に初の四半期最終黒字を達成した。黒字額は9億5138万台湾ドル(約47億円)で、量産開始以来の赤字体質からの脱却を示す節目となった。

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※画像はイメージです

JASMは2025年12月期に97億台湾ドルの最終赤字を計上していた。それがわずか1四半期で黒字に転じたことになり、熊本工場の収益基盤が急速に整いつつあることがうかがえる。

米アリゾナ工場も急成長

TSMCの海外展開が加速していることは、米国子会社TSMCアリゾナの業績からも鮮明だ。同社の2026年1〜3月期の純利益は188億763万台湾ドルに達し、2025年12月期通期の純利益161億4112万台湾ドルをわずか1四半期で上回った。

熊本、アリゾナの両拠点がそろって大幅な収益改善を見せており、TSMCのグローバル製造戦略が着実に成果を上げている構図である。

日本の半導体戦略における意義

JASMは熊本県菊陽町に工場を構え、TSMCが過半数を出資するほか、ソニーセミコンダクターソリューションズ、デンソー、トヨタ自動車が少数株主として参画している。日本政府も経済安全保障の観点から最大4760億円規模の補助金を投じており、国内での半導体安定供給体制の構築を後押ししてきた。

熊本工場の黒字化は、巨額の公的支援を受けた事業が自立的な収益を生み出し始めたことを意味する。ただし、黒字化の具体的な要因——製造コストの低減なのか、受注の急増なのか、補助金の計上によるものなのか——は今回の決算報告からは明らかになっていない。熊本工場の稼働率や製品別の収益性も開示されておらず、黒字の持続性を判断するには今後の四半期業績の推移を注視する必要がある。

  1. JASM設立

    TSMCが日本に子会社を設立。ソニー、デンソー、トヨタが少数株主として参画し、国内半導体製造の新たな拠点づくりが始動した。

  2. 第1工場の開所式

    熊本県菊陽町の第1工場で開所式を実施。12nm〜28nmプロセス技術による製造を担う拠点として整備が進んだ。

  3. JASMが97億台湾ドルの最終赤字

    量産立ち上げに伴うコスト負担が先行し、通期で97億台湾ドルの赤字を計上。工場稼働の初期段階における投資が重荷となっていた。

  4. 初の四半期最終黒字を達成

    9億5138万台湾ドル(約47億円)の黒字を記録。量産開始以来初となる四半期ベースでの黒字化を達成した。