2026/4/1
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国際

カナダ、兵器調達の7割を国内企業から カーニー首相が米依存脱却へ新目標

要約

カーニー首相が打ち出した国内調達7割目標は、トランプ政権との通商対立が深まる中で防衛分野でも米国依存の構造を見直す動きだ。今後10年で数十兆円規模の投資計画も視野に入る。

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兵器調達の7割を国内企業へ

カナダのカーニー首相が、兵器などの防衛装備品の調達について、7割を国内企業から行うとする新たな目標を打ち出した。トランプ米大統領との通商摩擦が激化する中、安全保障分野においても米国への過度な依存を見直す姿勢を鮮明にした形だ。

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※画像はイメージです

カナダと米国は貿易をめぐって対立が続いており、トランプ大統領はカナダに対し関税などの圧力を強めている。こうした状況を背景に、カーニー首相は防衛産業の国内基盤を強化し、調達先の多様化を図る方針を示した。

米国依存の構造転換を目指す

カナダの防衛調達はこれまで米国に大きく依存してきた。トランプ政権が同盟国に対しても保護主義的な姿勢を強める中、カーニー首相は自国の防衛産業を育成することで経済・安全保障の両面で自律性を高める狙いがある。

背景には、トランプ政権が2025年2月にカナダに対し25%の追加関税を発動して以降、段階的に圧力を強化してきた経緯がある。2025年7月には35%の追加関税を通告し、2026年1月には100%の関税を示唆するなど、両国間の緊張は急速にエスカレートしてきた。

  1. 25%の追加関税発動

    トランプ政権がカナダに対し25%の追加関税を発動。米加通商関係が急速に悪化する転機となった

  2. カーニー氏が首相に就任

    自由党党首選で85%の得票率で圧勝。カナダ銀行・イングランド銀行の元総裁という異例の経歴を持つ

  3. 35%の追加関税を通告

    米国がさらなる関税引き上げを通告。カナダ経済への打撃が深刻化し、GDP成長率がマイナスに転じる懸念が浮上

  4. 100%関税の可能性を示唆

    トランプ大統領がカナダに対し100%の関税を示唆。カナダの対米依存見直しの動きが加速する契機に

  5. 国内調達7割目標を発表

    カーニー首相が兵器調達の7割を国内企業から行う方針を表明。防衛分野でも米国依存の構造転換に乗り出した

大規模投資と欧州連携の模索

カーニー政権は今後10年間で防衛調達に1800億カナダドル(約20兆円)、防衛関連インフラに2900億カナダドル(約33兆円)を投じる計画を掲げている。経済波及効果は1250億カナダドル(約14兆円)と試算され、防衛産業の収益を240%拡大し、輸出も50%増やす見通しだ。

カナダの防衛産業はGDPに約100億ドルを貢献し、8万1000人以上の雇用を支えているが、米国のサプライチェーンへの依存度が高いことが課題とされてきた。7割の国内調達目標は、この構造的な弱点を克服するための長期戦略の柱となる。

また、カーニー首相は欧州との新たな安全保障協力も模索しており、ミュンヘン安全保障会議ではEUの安全保障プログラムに非欧州国として初めて参加する意向を表明している。1958年以来の米加共同防衛体制であるNORAD(北米航空宇宙防衛司令部)のあり方にも影響を及ぼす可能性がある。