2026/4/1
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国際

米大統領、国際緊急経済権限法に基づく相互関税の終了を命じる大統領令に署名

要約

米連邦最高裁がIEEPAによる関税賦課を違憲と判断した翌日、米大統領が相互関税の終了を命じる大統領令に署名した。1335億ドル以上の返還が見込まれており、従来にない法解釈をめぐる攻防に区切りがついた。

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大統領令で相互関税の徴収終了へ

米大統領は、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく相互関税などの徴収を速やかに終了する大統領令に署名した。

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※画像はイメージです

IEEPAは1977年に制定された法律で、従来は資産凍結や送金制限といった制裁的措置に用いられてきた。同法を根拠に大統領が追加関税を課したのは、2025年2月にトランプ大統領が相互関税を発動したのが初めてのことだった。大統領は同法の「輸入の規制」に関税賦課も含まれると解釈し、議会の個別承認を経ずに包括的な関税を導入していた。

最高裁の違憲判断が引き金に

2026年2月20日、米連邦最高裁はIEEPAの「輸入を制限する」権限では関税賦課の根拠として不十分だとする判決を下した。ロバーツ長官は、関税が財政収入を直接左右し国内産業や消費者物価に大きな影響を及ぼす重大政策であることを指摘し、IEEPAの条文には関税賦課を明示する規定がないと判断した。

この判決により、既に徴収された関税の返還が必要となる見通しで、その規模は1335億ドル(約20兆円)以上に上るとされている。

法的根拠の転換を模索

トランプ大統領は最高裁判決を受け、1974年通商法122条を根拠に全世界からの輸入に対して一律10%の「グローバル関税」を課す方針を示しており、IEEPAから別の法的根拠への転換を図る構えだ。

IEEPAに基づく相互関税は、その後の米中貿易摩擦の激化にもつながっていた。トランプ政権が対中関税を大幅に引き上げ、中国も報復関税で対抗するなど、短期間で関税率が急騰。中国はレアアース7種類の輸出規制でも対抗し、サプライチェーン全体に影響が広がっていた。今回の大統領令により、こうした関税措置の法的基盤が失われたことになる。