米最高裁がトランプ関税に違憲判決、6対3で大統領権限に歯止め
要約
米最高裁が大統領の関税権限を違憲と判示し、トランプ氏が任命した判事も多数派に加わった異例の判決。日本の高市首相に訪米での対米交渉という新たな課題を突きつけている。
最高裁が6対3で違憲判断
米連邦最高裁判所がトランプ大統領の関税政策に対し、違憲との判決を下した。判決は6対3の大差で、リベラル派3人の判事に加え、トランプ大統領自身が任命した2人の判事も違憲側に回るという異例の構図となった。
トランプ大統領は国際緊急経済権限法(IEEPA)を根拠に関税を正当化してきたが、最高裁は同法が「輸出入の制限」を認めるものの「関税の賦課」までは認めていないと判断した。関税賦課権は憲法上、議会にのみ属するという原則に立ち返る判決であり、大統領の暴走に対する司法の歯止めとして重要な意味を持つ。
トランプ政権の対応と新たな関税措置
判決を受けたトランプ政権は即座に代替手段に動いた。IEEPAに代わり通商法122条を根拠として、全世界に対する10%の追加関税を発動した。150日間の時限措置であるが、個別交渉で積み上げてきた国ごとの関税率が相対化される可能性がある。
日本は前任の石破首相の下で25%の関税率を15%に引き下げる合意を取り付け、G7内で最低レートを確保していた。しかし、最高裁判決によりその法的根拠であったIEEPA自体が否定されたことで、交渉の前提が根本から揺らいでいる。1,335億ドル以上の還付対象が生じる可能性も指摘されており、日本企業の税務・会計処理にも混乱が及びかねない状況である。
高市首相に求められる「説得役」
こうした中、高市早苗首相には対米交渉の最前線に立つ重責がのしかかっている。3月19日にはホワイトハウスでの首脳会談が予定されており、就任後初の訪米となる。
高市首相は衆院選での圧勝により盤石な政治基盤を築いており、「黄金時代」の日米関係構築を掲げてきた。前政権が確保した5,500億ドル規模の対米投資という交渉材料は残されているものの、新たな10%フラット関税という枠組みの下で「関税より投資」という従来の戦略がどこまで有効かは不透明である。
トランプ大統領が司法判決を「敗北」と見なさず代替手段を即座に講じた姿勢を踏まえると、高市首相が訪米で直面する交渉は一筋縄ではいかないものとなりそうだ。