世界初、iPS細胞由来の再生医療製品2品目を厚労相が製造販売承認
要約
山中伸弥氏がiPS細胞を開発してから約20年。重症心不全向けの心筋細胞シート「リハート」とパーキンソン病向けの「アムシェプリ」が、条件・期限付きで世界初の医薬品化を果たした。
iPS細胞由来製品が世界初の実用化へ
厚生労働相は2026年3月6日、iPS細胞から作られた再生医療製品の製造販売を承認した。iPS細胞由来の製品が医薬品として承認されるのは世界初となる。
承認されたのは2製品。大阪大学発ベンチャーのクオリプスが開発した重症心不全(虚血性心筋症)向けのiPS細胞由来心筋細胞シート「リハート」と、住友ファーマが開発したパーキンソン病向けの「アムシェプリ」である。
20年の研究が結実
iPS細胞は2006年に京都大学の山中伸弥教授(当時)がマウスで初めて作製に成功し、2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞した技術である。その後、2013年に理化学研究所が加齢黄斑変性の臨床研究を開始、2018年には大阪大学が心筋シートの臨床研究計画を申請するなど、段階的に実用化への道が開かれてきた。
iPS細胞の作製に成功
山中伸弥・京都大学教授がマウスのiPS細胞を世界で初めて作製。4つの遺伝子因子を導入する手法を確立した
ノーベル生理学・医学賞受賞
山中教授がiPS細胞の開発でノーベル賞を受賞。日本発の技術として世界的に注目を集めた
初の臨床研究を開始
理研が加齢黄斑変性の臨床研究計画を厚労省に提出・了承。iPS細胞の医療応用が本格的に始動した
心筋シートの臨床研究を申請
大阪大学がiPS細胞由来の心筋シートによる世界初の臨床研究計画を申請し、了承を得た
専門部会が条件付き早期承認を了承
厚労省の専門部会が2製品の条件・期限付き早期承認を了承。世界初の医薬品化に道筋がついた
厚労相が製造販売を承認
iPS細胞由来の再生医療製品として世界で初めて正式に製造販売が承認された
基礎研究の開始から約20年を経て、iPS細胞技術はついに医薬品としての実用化にたどり着いた。
条件・期限付き承認の枠組み
今回の承認は「条件・期限付承認」の枠組みで行われた。この制度は2014年の薬機法施行で新設されたもので、再生医療製品の特性を踏まえた仕組みである。再生医療製品は従来の医薬品と異なり不均質であり、希少疾患を対象とするため大規模な臨床試験データの取得が困難という事情がある。
原則として7年以内の期限付き承認とされ、販売先は専門医や設備が充実した医療機関に限定される。承認を受けた企業は期限内に製造販売後の調査や臨床試験を実施し、有効性と安全性を改めて検証したうえで本承認を申請する必要がある。