米政権、ホルムズ海峡の原油輸送再開へ3兆円規模の保険提供を計画
要約
保険料が通常の20倍に高騰し原油輸送が停滞するなか、米政権が国際開発金融公社(DFC)を通じて船舶保険を提供する方針を打ち出した。世界の石油輸送量の約2割が通過する要衝の安定確保が狙いだ。
米政権が3兆円規模の保険を提供へ
米政権が、ホルムズ海峡における原油輸送の再開に向け、3兆円規模の保険を提供する計画であることが明らかになった。
ホルムズ海峡はペルシア湾とオマーン湾を結ぶ幅約33kmの海峡で、毎日1,700万〜2,020万バレルの原油が通過する世界有数の「チョークポイント」である。世界の石油輸送量の約20〜25%を占め、同海峡の安定的な航行は国際エネルギー市場にとって不可欠な要素となっている。
保険料高騰が輸送停滞の一因に
背景には、海運保険市場の深刻な混乱がある。大型タンカー(VLCC)1航海あたりの保険料は通常時の約250万円から5,000万円へと20倍に急騰。欧米の保険会社が中東湾岸地域の船舶に対する補償を打ち切る動きも広がり、原油輸送の大きな障壁となっていた。
米政権は国際開発金融公社(DFC)を通じ、「妥当な価格」での保険提供を行う方針だ。トランプ大統領はあわせて、米海軍によるタンカー護衛も表明している。
日本経済への影響も大きく
日本は原油輸入の87〜94%をホルムズ海峡経由に依存しており、同海峡の情勢は日本経済に直結する。原油価格は2月27日の73ドルから3月1日には78ドルへ急騰しており、日本のインフレ加速やGDPの約3%下押しリスクを指摘する試算もある。
イラン保守強硬派が船舶の通過を認めない姿勢を示し、ホルムズ海峡の通航量は約70%減少。事実上の封鎖状態に陥っていた。代替ルートとしてサウジアラビアの東西パイプラインやUAEの迂回ルートがあるものの、合計で約680万バレル/日と全体の40%未満にとどまり、代替手段だけでは需要を賄いきれない状況である。
米政権による大規模な保険提供が、原油輸送の正常化にどこまで寄与するかが今後の焦点となる。