埼玉県立小児医療センターで白血病患者5人に神経症状、1人死亡――髄液から禁忌薬検出
要約
埼玉県立小児医療センターで白血病患者5人が髄腔内注射後に神経症状を発症。髄液から静脈注射専用の抗がん剤ビンクリスチンが検出され、1人が死亡、2人が重体となっている。
髄液から禁忌薬「ビンクリスチン」を検出
埼玉県立小児医療センター(さいたま市中央区)で、白血病患者5人が髄腔内注射後に神経症状を発症し、うち1人が死亡、2人が重体となっていることが明らかになった。死亡した患者1人と重体の患者2人の髄液からは、本来検出されるべきではない抗がん剤「ビンクリスチン」が検出された。
ビンクリスチンは静脈注射専用の抗がん薬であり、髄腔内への投与は絶対禁忌とされている。神経症状の事例は2025年に相次ぎ、3例目の重篤な神経症状確認後、センターは2025年11月以降は髄腔内注射を中止した。その後の検体検査で、髄液からビンクリスチンが検出されたため、センターは2026年2月27日に埼玉県へ報告した。
35人が転院、新規受け入れも停止
一連の事態を受け、センターでは白血病患者の新規受け入れを原則停止している。現在、患者35人が入院先の変更や他院での治療を余儀なくされている状況だ。
神経症状が相次ぐ
髄腔内注射を受けた白血病患者に神経症状の発症が複数確認される
髄腔内注射を中止
3例目の重篤な神経症状確認を受け、髄腔内注射の実施を停止
髄液からビンクリスチン検出
検体検査により、死亡患者1人と重体患者2人の髄液からビンクリスチンが検出される
県に報告
検査結果に基づき、県保健医療部へ報告
県警に届け出
事案を県警大宮署に届け出。刑事事件としての捜査対象に
医療事故調査センターに報告
医療事故調査・支援センターへの報告を完了
県議会委員会で説明
岡病院長が福祉保健医療委員会で経緯を説明。委員会は決議を採択
県議会で病院長が謝罪、県は報告体制を見直しへ
25日に開かれた埼玉県議会福祉保健医療委員会で、岡明病院長が経緯を説明し「患者さんやご家族に多大なご迷惑をおかけし大変申し訳ない」と謝罪した。委員会は決議を採択している。
縄田敬子県保健医療部長は「注射を中止した時点で報告するべきだった」と指摘し、重大事案が発生した際に県への速やかな報告を行う仕組みをつくる考えを示した。
センターは今月10日に事案を県警大宮署に届け出たほか、24日には医療事故調査・支援センターにも報告を済ませた。今後、新たに事故調査委員会を立ち上げる方針だ。髄液からビンクリスチンが検出された具体的な原因は現時点で判明しておらず、調査の行方が注目される。