大川原化工機冤罪事件、遺族が裁判官の責任問い新たな国家賠償訴訟を提起へ
要約
警視庁公安部による捏造捜査で勾留中に病死した元顧問の遺族が、捜査機関に加えて勾留許可を出した裁判官の責任を問う形で国を相手取った損害賠償請求訴訟を提起することが明らかになった。
遺族が新たな国賠訴訟へ
大川原化工機の冤罪事件をめぐり、遺族が裁判官の責任を問う新たな国家賠償訴訟を提起する方針であることが26日、明らかになった。遺族は国に対し損害賠償を求める。
この事件では、噴霧乾燥機メーカーの大川原化工機の代表取締役ら3人が2020年3月、外国為替及び外国貿易法違反の容疑で警視庁公安部に逮捕された。しかし捜査段階で公安部の警部補が証拠の捏造を告白し、2021年7月に東京地検が異例の起訴取り消しを決定。典型的な冤罪事件として社会に大きな衝撃を与えた。
勾留中の病死が問題の核心に
逮捕された3人のうち、元顧問の相嶋静夫氏は勾留中に進行胃がんと診断されたが、保釈が認められないまま十分な治療を受けられず、2021年2月に72歳で病死した。一貫して無罪を主張していたにもかかわらず、長期にわたる身柄拘束の末に命を落とした。
今回の訴訟では、遺族がこうした経緯を踏まえ、保釈許可を判断した裁判官の判断についても責任があったとして、国に賠償を求めるものである。
これまでの司法判断
大川原化工機事件をめぐっては、すでに別の国家賠償訴訟で司法判断が示されている。2023年12月の東京地裁判決では、警察・検察の捜査の違法性が認定され、国に約1億6200万円の賠償が命じられた。2025年5月の東京高裁判決では賠償額が約1億6600万円に増額され、逮捕・勾留請求・起訴のいずれについても違法性が確認された。
今回の訴訟は、捜査機関だけでなく勾留を許可した裁判官の責任にまで踏み込む点で、従来の訴訟とは異なる新たな局面を迎えることになる。日本の刑事司法における「人質司法」の問題が改めて問われることになりそうだ。