大川原化工機元顧問遺族、勾留判断の違法性問い国に約1億7千万円の賠償請求へ
要約
外為法違反で逮捕・起訴され勾留中に胃がんで死亡した元顧問の遺族が、保釈を認めなかった裁判官37人の判断についても違法性を主張し、4月上旬に東京地裁へ提訴する。
遺族が4月上旬に東京地裁へ提訴
機械製造会社「大川原化工機」を巡る事件で、勾留中にがんで亡くなった同社元顧問・相嶋静夫さん(当時72歳)の遺族が、国に約1億7千万円の損害賠償を求めて4月上旬に東京地裁に提訴することが明らかになった。
相嶋さんは、軍事転用可能な装置を無許可で輸出したとして外為法違反罪に問われ、大川原正明社長(76歳)、島田順司元取締役(72歳)とともに逮捕・起訴された。勾留後に胃がんが判明したが、東京地裁は「証拠隐滅の恐れがある」として保釈請求を却下し続け、相嶋さんは2021年2月に亡くなった。
遺族側は今回の提訴で、勾留判断に関わった裁判官37人の決定が違法であったと主張する方針だ。
先行裁判では逮捕・起訴の違法性が確定
大川原社長らが東京都と国に損害賠償を求めた先行する裁判では、一審・二審ともに警視庁による逮捕と東京地検による起訴を違法と認定し、賠償を命じる判決がすでに確定している。
今回の訴訟は、捜査機関の違法性にとどまらず、裁判所による勾留判断そのものの違法性を正面から問うものとなる。保釈請求を繰り返し退けた司法判断が、結果として相嶋さんの適切な医療を受ける機会を奪ったとする遺族の訴えは、日本の刑事司法制度における「人質司法」の問題を改めて浮き彫りにする。
問われる勾留制度のあり方
大川原化工機事件では、無実を主張する被告人に対し、「罪証隐滅の恐れ」を理由に長期の身柄拘束が続けられた。先行裁判を通じて捜査の違法性は司法によって認定されたが、その捜査を前提とした裁判所の勾留判断についてはこれまで法的責任が問われてこなかった。
遺族による新たな提訴は、逮捕・起訴だけでなく、身柄拘束を継続した裁判所の判断にまで踏み込んで国の責任を追及する異例の裁判となる。