黒崎愛海さん不明事件、仏裁判所がチリ人元交際相手に終身刑判決
要約
2016年にフランス留学中に行方不明となった筑波大学の学生・黒崎愛海さん(当時21歳)の事件で、フランスの差し戻し控訴審は殺人罪に問われたチリ人の元交際相手に終身刑を言い渡した。一審・二審の禁錮28年から大幅に量刑が引き上げられた。
差し戻し控訴審で終身刑を宣告
フランスの裁判所は、2016年に同国東部で留学中に行方不明となった黒崎愛海さん(当時21歳)の事件で、殺人罪に問われたチリ人の元交際相手に対し、終身刑の判決を言い渡した。
本判決は差し戻し控訴審におけるもので、過去の審理から量刑が大きく変わる結果となった。一審では2022年4月に禁錮28年の判決が下され、2023年12月の二審でも同じく禁錮28年が維持されていた。しかし2025年2月、フランスの破棄院(最高裁に相当)が手続上の違反を理由に判決を破棄し、審理の差し戻しを命じていた。
事件の経緯
黒崎愛海さんは筑波大学からフランス東部ブザンソンに留学中の2016年12月に行方不明となった。捜査の結果、元交際相手のチリ人ニコラス・セペダ被告が殺人容疑で訴追された。
セペダ被告は事件前の2016年11月30日にチリからフランスに到着し、12月4日夜に黒崎さんとレストランで食事をしていたことが確認されている。学生寮では深夜に叫び声や物を叩く音が聞こえたとの目撃証言があった。捜査では防犯カメラにセペダ被告が学生寮周辺をうろつく姿が記録されていたほか、引火性液体や洗浄剤の購入履歴、黒崎さんのSNSアカウントから友人に無事を装うメッセージが送信されていた形跡も判明した。
国際的な法的連携を経た裁判
セペダ被告の身柄引き渡しをめぐっては、2019年にチリ最高裁がフランスへの引き渡しを確定させるなど、日本・フランス・チリの三国間にまたがる国際的な法的手続きが進められた。
本事件は黒崎さんの遺体が発見されていない「遺体なき殺人」として審理が行われた。フランス法では遺体が見つかっていなくても、状況証拠に基づいて殺人罪の認定が可能とされている。
今回の差し戻し控訴審では、過去2度の禁錮28年を上回る終身刑が言い渡され、事件発生から約10年を経て最も重い量刑が科される結果となった。
黒崎愛海さんが行方不明に
フランス東部ブザンソンに留学中の筑波大学の学生・黒崎さん(当時21歳)が消息を絶つ。元交際相手のセペダ被告に捜査の焦点が当たる。
チリからフランスへ身柄引き渡し
チリ最高裁がセペダ被告のフランスへの引き渡しを確定。三国間の国際法的連携が実現した。
一審判決:禁錮28年
遺体未発見のまま状況証拠で殺人罪を認定。フランス司法が有罪判決を下す。
二審判決:禁錮28年を維持
控訴審でも一審と同じ禁錮28年の判決が維持された。
破棄院が判決を破棄・差し戻し
フランスの最高裁に相当する破棄院が、検察側の手続的違反を理由に確定判決を破棄し、再審理を命じた。
差し戻し控訴審で終身刑判決
過去2度の禁錮28年を大幅に上回る終身刑が言い渡された。
背景:フランスの司法手続きと遺体なき殺人
フランスの刑事法では、被害者の遺体が発見されていなくても、十分な状況証拠がそろえば殺人罪での有罪判決を下すことが可能です。本事件では、防犯カメラ映像、購入履歴、SNSの偽装工作などの間接証拠が積み重ねられ、有罪認定に至りました。