漫画家つげ義春さん死去、88歳 「ねじ式」「無能の人」で知られる
要約
不条理な世界観と旅や貧困を題材にした作品で漫画表現の可能性を切り拓いたつげ義春さんが、3月3日に誤えん性肺炎のため88歳で亡くなっていたことがわかった。
つげ義春ねじ式日本芸術院漫画訃報
「ねじ式」「無能の人」のつげ義春さん、88歳で死去
不条理な世界観と独自の作風で知られる漫画家のつげ義春さんが、3月3日に誤えん性肺炎のため亡くなった。88歳だった。東京出身。
つげさんは、旅や貧困などを題材にした作品を数多く手がけ、従来の漫画表現の枠を超えた実験的な作風で高い評価を受けた。代表作の「ねじ式」は1968年に発表され、シュールな画風と不条理な物語展開で漫画界のみならず美術・文学界にも大きな衝撃を与えた。
漫画の芸術的可能性を切り拓いた存在
もう一つの代表作「無能の人」は、つげさん自身が最高傑作と評した作品で、1991年には映画化作品がヴェネチア国際映画祭国際批評家連盟賞を受賞している。
つげさんは1960年代後半から1970年代にかけて「月刊漫画ガロ」を主な発表の場とし、漫画という表現媒体そのものの可能性を問い直す作品群を世に送り出した。その功績は2017年の日本漫画家協会賞大賞、2020年のアングレーム国際漫画祭特別栄誉賞、2022年の日本芸術院会員選出など、国内外で広く認められてきた。
1987年以降は事実上の休筆状態に
1987年の「別離」を最後に漫画作品の発表はなく、事実上の休筆状態が続いていた。漫画制作からは離れたものの、エッセイや旅行記などの文筆活動は継続していた。
見た夢をノートに記録する「夢日記」をもとに夢をそのまま漫画化する実験を試み、パースを意図的に狂わせるという独自の視覚的手法を開発するなど、つげさんの創作姿勢は常に既存の表現の枠組みに挑むものだった。日本漫画史において、その存在は唯一無二のものとして記憶されることになる。