68年前の新生児取り違え、都の調査で生みの親確認できず 江蔵さん「不十分」
要約
東京都は都立墨田産院での新生児取り違え事件について調査報告書を公表。同時期に生まれた38人とその両親14人を対象に調査したが、取り違えの相手は特定に至らなかった。
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都が調査報告書を公表、相手特定に至らず
68年前に東京都立墨田産院で起きた新生児取り違え事件について、東京都は2026年1月30日、調査報告書を公表した。取り違えられた男性・江蔵智さん(67)の生みの親を特定するため、同時期に同じ病院で生まれた38人とその両親14人を対象に調査を実施したが、取り違えの相手は確認できなかった。
江蔵さんは墨田産院で出生し、46歳の時にDNA鑑定によって育ての親との血縁関係がないことが判明した。以来、自身の生みの親を知るための活動を続けてきた。
裁判所の命令を受けた調査
この調査は、2025年4月に東京地裁が都に対して調査を命じる判決を言い渡したことに端を発する。都は控訴を見送り、判決が確定。これを受けて調査が開始された。
東京地裁の判決では、新生児の取り違えを受けた者が実親を知ることについて、憲法13条に基づく「出自を知る権利」として認定された。都立病院の運営者である東京都に調査義務があるとの司法判断が示された形である。
都と江蔵さん、今後の対応に隔たり
都の担当者は「引き続き個別対応を続けていくが、さらなる働きかけは難しい」との見解を示した。一方、江蔵さんは都の対応は不十分であるとして、調査を尽くすよう求めている。
墨田産院は現在すでに閉院しており、68年という長い年月の経過が調査を困難にしている。都と江蔵さんの間には、今後の対応をめぐって認識の隔たりが残る状況だ。