中部電力、2027年3月期の業績予想を「未定」に 中東危機で燃料価格見通せず
要約
中部電力は2026年4月28日、中東危機による燃料価格の不確実性を理由に2027年3月期の通期業績予想を未定にすると発表しました。林欣吾社長は記者会見で、燃料価格の高騰リスクにより合理的な収支見通しの策定が困難であると説明しています。
中部電力は4月28日、2027年3月期の通期業績予想を「未定」とすると発表した。中東危機の影響でエネルギー市場の動向が不透明になっており、合理的な収支見通しを立てることが困難と判断した。
林社長「合理的に見通すことが困難」
同日の記者会見で林欣吾社長は、「業績見通しの前提となる燃料価格などの不確実性が高まっており、今期の収支水準を合理的に見通すことが困難だ」と述べた。中東情勢の悪化に伴い、原油や液化天然ガス(LNG)の価格変動リスクが増大していることが、業績予想の策定を断念した主な理由である。
日本は原油の約9割以上を中東に依存しており、そのうち約8割がホルムズ海峡を経由する。中東地域の地政学的な緊張の高まりは、原油輸送の要衝であるホルムズ海峡の封鎖リスクを通じて、日本のエネルギー供給に直接的な影響を及ぼす構造となっている。
火力依存の電力大手に波及の可能性
中部電力は火力発電設備が約76%を占めるなど、火力発電への依存度が高い。日本全体でもエネルギー供給の約7割を火力発電が担っており、原子力発電所の停止以降はLNG発電への依存度が発電量の約4割に達している状況だ。
こうした構造的な背景から、電源構成において火力発電への依存度が高い電力大手の間で、同様の業績予想見送りが相次ぐ可能性が示唆されている。燃料調達コストの見通しが立たなければ、電力各社の経営判断にも大きな影響が及ぶことになる。
地政学リスクがエネルギー経営を直撃
ロシアのウクライナ侵攻を契機とした世界的なLNG・原油の需給逼迫に続き、中東危機がエネルギー市場に新たな不安定要因をもたらしている。電力小売自由化や市場価格を反映した料金体系への移行が進む中、電力会社は燃料調達リスクをより直接的に負うようになっており、国際情勢の不安定さが企業経営に与える影響の大きさが改めて浮き彫りとなった。
中部電力以外の電力各社が実際に業績予想を見送るかどうかは現時点で明らかになっておらず、今後の各社の対応が注目される。