東京電力HD、次期会長に産業革新投資機構の横尾敬介社長を内定 金融界から異例の起用
要約
東京電力ホールディングスは小林喜光会長の退任に伴い、官民ファンド「産業革新投資機構」社長の横尾敬介氏を後任に迎える人事を内定した。電力業界や官僚出身者が歴任してきた同社会長職への金融業界出身者の起用は異例となる。
東京電力ホールディングス(HD)は4月30日、小林喜光会長が退任し、後任として官民ファンド「産業革新投資機構(JIC)」社長の横尾敬介氏を次期会長に迎える人事を内定したと発表した。2026年6月の株主総会を経て正式に決定される見込みだ。
金融業界出身者の起用は異例
横尾氏は旧日本興業銀行出身で、みずほ証券の社長・会長を歴任した後、2019年からJICの代表取締役社長CEOを務めている。電力業界や官僚出身者が歴任してきた東電HD会長に金融業界出身者が就くのは異例のことである。
退任する小林喜光氏は三菱ケミカルホールディングス(現三菱ケミカルグループ)の元会長で、経済同友会の元代表幹事も務めた人物だ。東電HDでは2012年から2015年まで社外取締役を務め、原子力改革監視委員会の委員長などを歴任。2021年6月に会長に就任し、福島第一原発事故の賠償・廃炉への対応を監督してきた。
巨額の廃炉費用と電力需要増が経営課題
東電HDは福島第一原発事故の対応費用が巨額に上り、国の支援なしには再建が困難な状況が続いている。一方で、データセンター建設やAI関連設備の拡大に伴い電力需要の増加が見込まれ、大規模な設備投資も求められている。
こうした状況下で、外部資本との提携や事業再編への対応力が今後の経営の鍵となる。横尾氏の起用は、金融・資本政策・産業再編の知見を経営に取り込む狙いがあるとみられ、経営体制刷新の一環と位置付けられる。
産業革新投資機構での実績
横尾氏が率いるJICは、産業競争力強化法に基づき設立された官民ファンドで、オープンイノベーションを通じた産業競争力の強化と民間投資の拡大を目的としている。主にベンチャー・グロース投資や事業再編へのリスクマネー供給を手がけており、横尾氏は2019年12月の就任以来、同機構の投資活動を主導してきた。
東電HDは福島復興という重い責務を負いながら、変化する電力需要への対応という新たな課題にも直面しており、横尾氏の交渉力や資本政策のノウハウが今後の経営にどのように生かされるかが注目される。