2026/5/5
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国際

台湾・頼清徳総統、アフリカ・エスワティニ訪問を終え帰着 中国の妨害乗り越え

要約

中国の圧力により一度は中止に追い込まれたアフリカ・エスワティニへの訪問を代替手段で実現し、頼清徳総統が5日に台湾へ帰着した。アフリカで唯一国交を持つ同国との間で、原油備蓄タンク建設などの経済協力強化を確認した。

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頼総統、エスワティニから5日に帰着

台湾の頼清徳総統が5日、訪問先のアフリカ・エスワティニ(旧スワジランド)から台湾に帰着した。エスワティニはアフリカで唯一、台湾と外交関係を維持している国であり、今回の訪問は中国からの強い圧力を乗り越えて実現したものである。

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※画像はイメージです

頼総統は当初、4月22日にエスワティニを訪問する予定だった。しかし、経由地となるセーシェル、モーリシャス、マダガスカルの3カ国が中国からの圧力により飛行許可を取り消したため、訪問は急遽中止に追い込まれていた。台湾外交部はこれを「中国による経済的威圧を含む強い圧力」と非難している。

代替手段で訪問を実現

中止後、台湾の外交チームと国家安全保障チームによる綿密な調整が行われ、5月2日に訪問が実現した。一部の台湾メディアは、頼総統がエスワティニ側の専用機に搭乗して渡航したと報じている。

訪問中、頼総統はエスワティニのムスワティ3世国王と会談し、友好関係を確認した。両国は1968年のエスワティニ独立と同時に国交を樹立しており、57年以上にわたる協力関係を築いてきた。今回の訪問では、国交樹立以来最大規模とされる「戦略的原油備蓄タンク」の建設や「台湾産業イノベーションパーク」(TIIP)の設置といった協力事業も進められている。TIIPには繊維、包装、製薬、グリーンエネルギーなどの分野で台湾企業が関心を示しているという。

中国は「茶番」と非難

一方、中国はこの訪問に対し強く反発している。中国外交部は頼総統のエスワティニ訪問を「公金を浪費して密航を企てた茶番」と非難する声明を発表した。中国は「一つの中国」原則を掲げ、台湾の国交国を減らすよう圧力を強めており、現在台湾と外交関係を持つ国は12カ国にまで減少している。

これに対し、アフリカ連合経済・社会・文化理事会(AU ECOSOCC)のシソコ議長は、外部勢力によるアフリカ諸国の領空への干渉に憤りを示し、国家主権と自主性を重視する立場を表明した。台湾外交部はこの姿勢に感謝の意を示している。

頼総統は訪問中、「台湾は主権国家であり、世界の台湾である」と強調し、台湾が国際社会に貢献することを妨げる権利は誰にもないという立場を改めて示した。中国の圧力が強まる中、台湾が限られた国交国との関係をいかに維持・強化していくかが引き続き注目される。