警察庁長官、栃木強盗殺人事件受けトクリュウ対策強化を表明 全国警察挙げた取り組み指示
要約
栃木県上三川町で発生した強盗殺人事件を受け、警察庁の楠芳伸長官は全国の警察に対し、匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)への対策を強化するよう指示した。事件ではSNSの闇バイトを通じて集まったとみられる指示役と実行役計6人が逮捕されている。
警察庁長官「全国警察を挙げて対策強化」
警察庁の楠芳伸長官は21日の定例記者会見で、栃木県上三川町で発生した強盗殺人事件を受け、匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)への対策を全国規模で強化する方針を表明した。楠長官は「中核的人物の早期検挙と同種事案のさらなる発生の防止の両面で、全国警察を挙げて対策を強化する必要がある」と述べ、「関係部門が緊密に連携し、確実に実施する」と強調した。
事件は5月14日に栃木県上三川町の民家で発生。4人の少年が押し入り、住人の女性を殺害し、息子2人に重傷を負わせた。実行役として逮捕されたのは神奈川県在住の16歳の少年を含む4人で、指示役とみられる横浜市の夫婦2人も逮捕され、これまでに計6人が身柄を確保されている。犯行グループはSNSの「闇バイト」を通じて募集されたとみられ、トクリュウの関与が疑われている。
不審な訪問への対策を全国に指示
警察庁は今回の事件を踏まえ、犯行の下見が疑われる不審な訪問への対策を都道府県警察に指示した。トクリュウによる犯罪では、実行役が事前にターゲットの住宅を訪問して状況を確認する手口が用いられることがあり、こうした段階での対策強化が狙いとなる。
一方、逮捕された6人よりもさらに上位に存在する指示役の有無や、事件におけるトクリュウの具体的な関与の仕組み、組織実態については依然として不明な点が多い。栃木県警は捜査主体として、事件の全容解明に向けた捜査を続けている。
トクリュウの脅威と闇バイトの拡大
トクリュウは2023年7月に警察庁が定義した犯罪グループの類型で、匿名性の高いSNSを利用して実行役を募集し、メンバーが頻繁に入れ替わる流動性の高さが特徴とされる。指示役の特定が困難で、実行役が使い捨てにされる構造を持つ。暴力団組織が縮小する一方、トクリュウのような新たな犯罪組織が勢力を拡大しており、特殊詐欺や広域強盗事件の凶悪化が社会問題となっている。
今回の事件でも16歳の少年が実行役として動員されており、若年層がSNSを通じた「闇バイト」の募集に巻き込まれる実態が改めて浮き彫りとなった。警察庁は中核的人物の検挙と再発防止の両面から、全国的な対策の強化を進める構えである。