キッセイ薬品、血管炎治療薬「タブネオス」で安全性速報 服用後20人の死亡報告
要約
ANCA関連血管炎の治療薬「タブネオス」の服用後に重篤な肝機能障害が発生し、死亡に至った症例が20例報告されたことを受け、キッセイ薬品工業が21日に安全性速報を発出した。
服用後に20人が死亡、安全性速報を発出
キッセイ薬品工業は21日、血管炎治療薬「タブネオス」(一般名:アバコパン)について、安全性速報(ブルーレター)を発出した。同薬の服用後に重い肝機能障害が発生し、死亡に至った症例が20人報告されたことを受けた措置である。
タブネオスは、顕微鏡的多発血管炎(MPA)および多発血管炎性肉芽腫症(GPA)の治療薬として、2022年6月に発売された。これらの疾患は抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎に分類される指定難病で、治療選択肢が限られる中、新たな作用機序を持つ薬剤として期待されていた。
使用上の注意を改訂
今回の安全性速報の発出に伴い、タブネオスの使用上の注意も改訂された。報告された20例の死亡には因果関係が不明なものも含まれているが、キッセイ薬品は重篤な肝機能障害のリスクについて、医療関係者に対し広く注意喚起を行う必要があると判断した。
同社が5月15日に公表した情報によると、タブネオス服用患者において、胆管消失症候群(VBDS)を含む重篤な肝機能障害が報告されている。VBDSの重篤例は22例、うち死亡例は13例に上る。重篤な肝機能障害は投与開始後3日から84日以内に発現する傾向があるとされ、投与初期からの慎重な肝機能モニタリングが求められる。
海外でも安全性への懸念が拡大
タブネオスをめぐっては、海外でも安全性に対する懸念が広がっている。米国では、承認の根拠となった臨床試験データの整合性に疑義があるとして、承認撤回が提案されている。欧州でも調査が開始されており、米食品医薬品局(FDA)は薬剤誘発性の肝機能障害に関する注意喚起を発出している。
タブネオスは、補体系の活性化を抑制する選択的C5a受容体拮抗薬で、従来の標準治療薬であった副腎皮質ステロイドに比べ、寛解維持における優越性が示されていた。米国ChemoCentryx社(現Amgen社傘下)が創製し、キッセイ薬品が日本国内での製造販売を担っている。
安全性速報(ブルーレター)は、医薬品の緊急かつ重大な安全性情報を医療関係者に周知するために発出されるもので、通常の添付文書改訂よりも緊急性が高い位置づけとなっている。キッセイ薬品は医療現場に対し、タブネオス投与中の患者に対する定期的な肝機能検査の実施と、異常が認められた場合の速やかな対応を求めている。