東北大学などの研究グループは23日、アルツハイマー病で生じる記憶障害の原因に、脳内の神経伝達物質であるドーパミンの不足が深く関わっていることをマウスを用いた実験で明らかにしたと発表した。\n\n※画像はイメージです\n\nアルツハイマー病は進行性の認知症であり、記憶障害はその中核的な症状として知られる。従来の研究では、脳内に蓄積される異常なタンパク質「アミロイドβ」が主要な原因とされてきたが、今回の研究はドーパミンの不足という異なる側面から記憶障害のメカニズムに迫るものである。\n\n## 従来のアミロイドβ中心の研究とは異なるアプローチ\n\nドーパミンは、運動調節や意欲、快感などに関わる神経伝達物質だ。近年の研究では、ドーパミンがアミロイドβの蓄積を抑制し、神経炎症を軽減する可能性が示唆されてきた。今回の東北大学などによる研究成果は、こうした知見をさらに発展させ、ドーパミン不足と記憶障害との直接的な関連を示したものとなる。\n\nアルツハイマー病の治療をめぐっては、これまでアミロイドβに焦点を当てた治療薬の開発が活発に進められてきた。1970年代後半には患者の大脳皮質で神経伝達物質アセチルコリンの減少が確認され、アセチルコリンを増加させる薬剤が治療に用いられるようになった経緯がある。今回の発見は、ドーパミンという別の神経伝達物質に着目した新たな治療戦略の可能性を開くものといえる。\n\n## ヒトへの応用は今後の課題\n\nただし、今回の研究はマウスを用いた実験によるものであり、この結果がヒトの治療にどの程度応用可能かは現時点では明らかになっていない。今後、臨床研究を含めたさらなる検証が求められる。\n\n東北大学は脳神経科学分野の研究に注力しており、過去には超音波を用いたアルツハイマー病の認知機能改善に関する臨床試験の結果を発表するなど、新たな治療法の可能性を探る研究を積み重ねてきた。今回の成果も、アルツハイマー病の病態解明と治療法開発に向けた重要な一歩となる可能性がある。