水俣病認定訴訟、福岡高裁が原告7人の控訴を棄却 一審判断を支持
要約
熊本・鹿児島両県の住民7人が公害健康被害補償法に基づく患者認定を求めた訴訟で、福岡高裁は一審の熊本地裁判決を支持し控訴を棄却した。水銀汚染終了から症状発生まで20〜30年の空白が水銀との因果関係を否定する根拠となった。
福岡高裁、原告全員の患者認定を認めず
福岡高裁(高瀬順久裁判長)は23日、水俣病の患者認定を求めた熊本・鹿児島両県の住民7人による控訴を棄却する判決を言い渡した。一審の熊本地裁判決を支持し、原告全員を水俣病患者とは認めなかった。
原告7人は66〜73歳で、いずれも1956年前後の生まれ。手足の感覚障害などの症状を訴え、公害健康被害補償法(公健法)に基づく患者認定を求めて2015年に提訴していた。
「水銀が原因とは合理的に説明できない」
判決の焦点となったのは、メチル水銀による汚染が終了してから原告らの症状が発生するまでに20〜30年の空白期間がある点だった。一審の熊本地裁はこの空白について、症状が水銀によるものとは「合理的に説明できない」と判断しており、福岡高裁もこの見解を支持した形である。
水俣病は、チッソ水俣工場から排出された有毒なメチル水銀を含む廃水が原因で発生した中毒性の神経系疾患で、1956年に公式確認された。公式確認から70年近くが経過した現在も、患者認定を巡る訴訟は続いている。
認定制度の運用、なお課題
水俣病の公式確認
チッソ水俣工場の廃水に含まれるメチル水銀が原因の神経系疾患として確認された。
原告7人が提訴
熊本・鹿児島両県の住民7人が公健法に基づく患者認定を求め、熊本地裁に訴えを起こした。
福岡高裁が控訴棄却
高瀬順久裁判長が一審判断を支持し、原告全員の患者認定を認めない判決を下した。
被告となった熊本県と鹿児島県は、公健法に基づく患者認定の判断主体である。原告側が最高裁へ上告するかどうかは明らかになっていない。
水俣病の認定を巡っては、過去にも各地の裁判所で判断が分かれてきた経緯がある。今回の判決は、汚染終了から長期間を経て発症したとされる症状について、水銀との因果関係をどう評価するかという医学的・法的な難しさを改めて浮き彫りにした。