福井事件で再審無罪の前川彰司氏、国に約4千万円の刑事補償を請求
要約
1986年の女子中学生殺害事件で、事件発生から38年を経て再審無罪が確定した前川彰司氏が、国に約4千万円の刑事補償を請求した。約8年8カ月の不当な身体拘束に対し、法定上限額である1日1万2500円での支払いを求めている。
3100日余りの拘束に法定上限で請求
1986年に福井県で発生した女子中学生殺害事件(福井事件)で、2023年夏に再審無罪が確定した前川彰司氏(60)が2024年5月28日、福井地裁に刑事補償を請求した。
前川氏は1987年3月29日に殺人容疑で逮捕された。1990年9月の一審・福井地裁判決では無罪となり一時釈放されたが、二審の名古屋高裁金沢支部で懲役7年の逆転有罪判決を受け、最高裁で刑が確定。1997年12月から2003年3月まで金沢刑務所および岡崎医療刑務所(愛知県)で服役した。服役中には精神の変調をきたし、岡崎医療刑務所への移送を余儀なくされている。
逮捕から雪冤まで38年
前川氏は逮捕当時から一貫して無実を訴え続け、長年の再審請求を経て2023年夏にようやく再審無罪が確定した。逮捕から雪冤までに要した歳月は実に38年に及ぶ。
福井事件発生
福井県福井市で中学3年生の女子生徒が殺害される事件が発生。後に前川氏が容疑者として浮上した。
前川氏逮捕
3月29日に殺人容疑で逮捕され、起訴された。以来、一貫して事件への関与を否定し続けた。
一審無罪判決
福井地裁が関係者の供述の信用性を否定し、前川氏に無罪を言い渡した。判決を受けて前川氏は一時釈放された。
二審で逆転有罪
名古屋高裁金沢支部が懲役7年の逆転有罪を宣告。最高裁で確定し、1997年から金沢刑務所や岡崎医療刑務所で服役した。
再審無罪確定
第2次再審請求審で開始が認められ、再審公判にて無罪判決が下された。検察が上告権を放棄し、38年ぶりに無実が確定した。
刑事補償請求
不当な身体拘束への補償として、福井地裁に対し法定上限の単価による約4千万円の支払いを求める請求書を提出した。
「奪われたのは収容された時間だけではない」
前川氏は「奪われたのは、留置場や刑務所に収容されていた時間だけではない」と語り、「世の中にずっと背を向けられていると感じてきたことが、何よりも、俺を苦しめた」と、単なる身体拘束にとどまらない、長年にわたる精神的苦痛を訴えた。
刑事補償法では、無罪が確定した場合に身体拘束を受けた期間に応じて1日あたり1000円以上1万2500円以下の補償金が支払われる。前川氏は長期間の苦難を鑑み、上限額での補償を求めており、今後は福井地裁が具体的な補償額を決定する。