2026/5/12
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経済

旭化成、水島製造所の石化事業を2030年度までに縮小 ポリエチレンなど生産終了へ

要約

旭化成は、岡山県倉敷市の水島製造所における石油化学事業を2030年度までに縮小すると発表した。供給過剰な国内石化産業の稼働率改善を目指し、ポリエチレンやスチレンモノマーなどの生産を終了する。

旭化成水島製造所産業再編石油化学経営戦略

旭化成は5月12日、水島製造所(岡山県倉敷市)の石油化学事業を縮小し、2030年度をめどにポリエチレンおよびスチレンモノマーの生産を終了すると発表した。顧客の代替品への移行期間として約4年間の猶予を設ける。国内石化産業の構造転換が加速するなか、同社は事業ポートフォリオの再編を進める。\n\n

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※画像はイメージです
\n\n## 生産終了と設備集約の全容\n\n今回の再編では、ポリエチレンとスチレンモノマーの生産終了に加え、アクリロニトリルの生産ラインを停止し、メタクリロニトリル(MAN)との併産体制へ切り替える。MANの生産は継続する方針だ。また、ポリウレタン樹脂原料の調達先を中国子会社へ切り替える。\n\nエチレン生産設備については、三菱ケミカルグループと共同運営する水島の1基を停止し、三井化学の大阪府の設備に集約する方針を2026年1月に発表済みである。集約後の出資比率は三井化学45%、三菱ケミカルグループ45%、旭化成10%となる。\n\nこのほか、アクリル樹脂やMMAなど4事業の撤退を既に決定しており、2027年4月には自動車ミラーカバー用などに使われる樹脂主原料1種の生産も終了する予定だ。\n\n## 石化事業の収益力低下が再編を後押し\n\n旭化成の石化関連事業は、収益構造の急速な変化に直面している。営業利益に占める石化関連事業の割合は、2019年3月期の25%から2026年3月期には3%(営業利益予想62億円)へと大きく縮小する見込みだ。2028年3月期までの中期経営計画では、構造転換の対象とする石化関連事業の売上規模を1400億円程度としている。\n\n
\n\n国内市場における旭化成のシェアは、ポリエチレンが6〜11%、スチレンモノマーが23%を占めている。工藤幸四郎社長は「他社も含め国内の生産能力は需要を十分に上回っている。当社が生産終了することで産業全体で稼働率が上がり供給網の強靱化に資する」と述べ、自社の撤退が業界全体にとってプラスになるとの認識を示した。\n\n## 石化再編の時系列\n\n
  1. エチレン設備集約を発表

    三菱ケミカルグループとの共同運営設備を停止し、三井化学の大阪府設備に集約する方針を公表した。

  2. 水島石化事業の縮小を正式発表

    ポリエチレン・スチレンモノマーの生産終了やアクリロニトリル生産ラインの停止など、再編の全体像を明らかにした。

  3. 樹脂主原料の生産終了

    自動車ミラーカバー用などに使われる樹脂主原料1種の生産を終了する予定。

  4. ポリエチレン等の生産終了・設備集約完了

    約4年間の顧客移行期間を経て、水島製造所の主要石化製品の生産を終了する計画。

\n\n国内石油化学業界では、三井化学が石化事業の分社化を検討し、三菱ケミカルグループも事業再編に乗り出すなど、各社が構造転換を模索している。旭化成の今回の決定は、業界全体の再編の流れを象徴するものとなる。