2026/5/12
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社会

神宮外苑再開発の樹木伐採許可取り消し訴訟、東京地裁が住民の訴えを却下

要約

周辺住民ら82人が新宿区による樹木伐採許可の取り消しを求めた訴訟で、東京地裁は原告に法律上の適格がないと判断し訴えを却下した。1人当たり1万1千円の慰謝料請求も棄却された。

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「原告適格なし」と判断、訴えを却下

明治神宮外苑の再開発に伴い、東京都新宿区が出した樹木伐採許可の取り消しを周辺住民ら82人が求めた訴訟で、東京地裁(岡田幸人裁判長)は12日、原告側の訴えを却下する判決を言い渡した。原告が主張していた環境・健康被害への訴えについて、法律上の「適格がない」と判断した。あわせて、原告側が求めていた1人当たり1万1千円の慰謝料請求も棄却された。

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※画像はイメージです

岡田裁判長は判決理由の中で、「気候変動は地球規模で進行する性質があるとして、一部の人のみの利益を保護するのは相当ではない」と述べ、原告が伐採許可の取り消しを求める法的な立場にないとの見解を示した。

神宮球場・秩父宮解体し高層ビル建設の計画

再開発事業は、神宮球場や秩父宮ラグビー場を解体し、商業施設を含む高層ビルを建設する計画である。東京都が2023年2月に事業を認可しており、完成は2036年を見込んでいる。事業は三井不動産、宗教法人明治神宮、独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)、伊藤忠商事の4者が共同で進めている。

この計画を巡っては、樹齢100年を超える大木を含む約1000本の樹木が伐採対象となっていることから、専門家や地域住民から反対の声が上がってきた。故・坂本龍一氏も生前に反対を表明していたほか、ユネスコの諮問機関イコモスの日本国内委員会も計画の見直しを求める提言を発表している。

別途係争中の訴訟も

今回の訴訟は、新宿区長が行った樹木伐採許可という行政処分の取り消しを求めるものであった。原告側は、風致地区条例の地域変更手続きの不透明さや、裁量権の逸脱・濫用があったと主張していたが、裁判所は原告適格の段階で訴えを退けた形だ。

なお、東京都による事業認可そのものの取り消しを求める訴訟も別途係争中とされるが、その判決時期は明らかになっていない。原告側が今回の判決に対して控訴するかどうかも現時点では不明である。

  1. 東京都が再開発事業を認可

    神宮球場・秩父宮ラグビー場の解体と高層ビル建設を含む大規模再開発計画が正式に認可された。

  2. 東京地裁が住民訴訟を却下

    周辺住民82人による樹木伐採許可取り消し訴訟で、原告適格がないとして訴えを却下。慰謝料請求も棄却された。

  3. 再開発事業の完成予定

    商業施設を含む高層ビルの建設など、再開発エリア全体の完成が見込まれている。