2026/5/20
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政治

長生炭鉱の遺骨DNA型鑑定に着手へ 日韓両政府が方針発表

要約

山口県宇部市の海底炭鉱「長生炭鉱」で戦時中に発生した水没事故の遺骨について、日韓両政府がDNA型鑑定に着手する方針を発表した。民間団体が回収した遺骨の身元特定を目指し、鑑定結果を相互に共有する。

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日韓がそれぞれ鑑定、結果を共有へ

日韓両政府は18日、山口県宇部市の長生炭鉱で回収された遺骨の身元確認のため、DNA型鑑定に着手する方針を発表した。対象となるのは2025年8月と2026年2月に回収された遺骨で、日本と韓国がそれぞれ鑑定を実施し、その結果を共有する。

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※画像はイメージです

日本外務省は「日韓がそれぞれ遺骨を鑑定し、結果を共有。身元判明後は、日本の法制度に基づいて遺族らへの引き渡しの是非を判断する」と説明している。長生炭鉱は戦時中の水没事故により、朝鮮半島出身者を含む183人が犠牲となった海底炭鉱である。

2025年8月に地元の民間団体が潜水調査を行い、犠牲者のものとみられる人骨を回収してDNA型照合を求めていた。その後、2026年1月の日韓首脳会談で高市早苗首相と李在明大統領がDNA型鑑定に関する協力推進で合意し、2月には追加の遺骨も回収されていた。

民間団体の活動が契機に

今回の鑑定方針の発表に至るまでには、地元の民間団体による長年の活動があった。2025年8月の潜水調査で遺骨が回収されたことが大きな転機となり、日韓両政府間の協議が本格化した経緯がある。

  1. 長生炭鉱で水没事故発生

    山口県宇部市沖の海底炭鉱で坑道が水没し、朝鮮半島出身者を含む183人が犠牲となった。

  2. 民間団体が潜水調査で人骨を回収

    市民団体「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」が独自に潜水調査を実施。犠牲者のものとみられる人骨を回収した。

  3. 日韓首脳会談でDNA鑑定協力に合意

    高市首相と李在明大統領が会談し、遺骨の身元確認に向けた鑑定協力の推進で一致した。

  4. 遺骨を追加回収

    炭鉱跡からさらに遺骨が回収され、鑑定対象となる資料が確保された。

  5. DNA型鑑定着手の方針を発表

    日韓両政府がそれぞれ鑑定を実施し、結果を共有する具体的な手続きが示された。

19日に日韓首脳会談を予定

翌19日には韓国の慶尚北道安東で日韓首脳会談が予定されており、本件が議題として取り上げられる可能性がある。身元が判明した場合の遺族への引き渡しについては、日本の国内法に基づいて判断される方針だが、鑑定に要する具体的な期間などは現時点で明らかにされていない。

長生炭鉱をめぐる遺骨問題は、戦時中の強制動員や歴史認識といった日韓間の課題と関わりが深い。今回のDNA型鑑定の着手が、両国関係の安定的な発展にどのような影響を与えるか注目される。