2026/5/20
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国内

南鳥島で「核のごみ」最終処分地選定の文献調査が開始 離島での初の調査

要約

高レベル放射性廃棄物の最終処分地選定に向け、東京都小笠原村の南鳥島で文献調査が始まった。一般住民が居住しない離島での調査は初めてで、国が前面に立って進める異例の形となっている。

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東京都小笠原村の南鳥島において、高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分地選定に向けた文献調査が開始された。一般住民が居住しない離島での調査実施は初めてであり、これまでの候補地選定とは異なる展開となる。

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※画像はイメージです

国主導で進む異例の選定プロセス

文献調査は、最終処分地を決定するための3段階の選定プロセスにおける第1段階にあたる。既存の地質図や学術論文などの資料を収集・分析する机上調査として実施される。

これまで文献調査が行われてきた北海道の寿都町や神恵内村、佐賀県の玄海町では、自治体の公募や議会の請願採択を通じて調査が進められてきた。一方、南鳥島では経済産業省が2026年3月3日に小笠原村へ文献調査の実施を直接申し入れ、同年4月21日に渋谷正昭村長が受け入れの意向を正式に表明するという経緯をたどった。国が前面に立って調査を主導する形は、従来の手法とは一線を画すものである。

  1. 経済産業省が小笠原村へ申し入れ

    南鳥島での文献調査実施を経済産業省が直接申し入れた。自治体からの公募を待つのではなく、国が主体となって候補地を選定・提案する異例の形式となった。

  2. 渋谷正昭村長が受け入れ表明

    小笠原村の渋谷正昭村長が国からの申し入れに対し受け入れを正式に回答。住民の不在や国有地である点が迅速な合意形成の背景にある。

  3. 文献調査が開始

    日本最東端の南鳥島にて処分地選定に向けた調査が正式に始動。既存資料に基づく地質学的リスクなどの精査が開始された。

南鳥島が候補地となった背景

南鳥島は日本最東端に位置し、周囲約6km、面積約1.5平方キロメートルの島である。一般住民は居住しておらず、海上自衛隊や気象庁、国土交通省などの施設に職員が常駐するのみだ。住民が居住していないことから、反対意見が少なく合意形成が比較的スムーズに進む可能性があるとの見方がある。

ただし、島内の面積の狭さやアクセスの困難さ、調査・建設に伴う多額のコストなどが課題として指摘されている。一部の市民団体からは、これまでの処分地選定政策の停滞を住民のいない離島に押し付けるのではないかとの批判も出ている。

今後の長い道のり

文献調査はあくまで最終処分地決定に向けた最初のステップに過ぎない。今後は概要調査、精密調査と段階的に進められる。さらに、自治体首長の同意に加えて都道府県知事の同意も必要となるため、東京都の意向も今後の進展を左右する重要な要素となる。

南鳥島周辺の海域にはレアアース(希土類)を含む海底資源が豊富に存在しており、経済安全保障の観点からも注目される地域である。核のごみの最終処分地選定と資源開発の動向がどのように関連していくのかも、今後の焦点の一つとなる。