4月の国内エチレン設備稼働率67.3%、統計開始以来の過去最低を更新
要約
石油化学工業協会が発表した2026年4月の国内エチレン設備稼働率は67.3%となり、リーマンショック後を下回り過去最低を記録しました。国内設備の定期修理に加え、中東情勢の緊迫化による原料ナフサの価格高騰と調達コスト増が生産活動の重荷となっています。
エチレン稼働率67.3%、リーマン後の最低も下回る
石油化学工業協会(石化協)は21日、2026年4月の国内エチレン生産設備稼働率が67.3%だったと発表した。2カ月連続の6割台となり、統計開始以来の過去最低を更新した。2009年のリーマンショック後に記録した68.6%をも下回る水準である。
4月の生産量は28万3500トンで、前年同月比37.1%減と大幅に落ち込んだ。一方、前月(3月)比では3.6%増となった。国内12基の設備のうち4基が定期修理中だったことが、稼働率を押し下げた主因となっている。
ナフサ価格高騰が重荷、調達コストは通常の約2倍
稼働率低下のもう一つの要因が、エチレンの主原料であるナフサの価格高騰である。中東情勢の緊迫化を背景に、中東外からのナフサ価格は通常時の約2倍の水準に達している。
石化協副会長の筑本学氏は「プレミアムを支払うことで必要な量が調達できている状況だ」と説明した。5月には中東外からのナフサ調達量が通常時の3倍以上に膨らむ見込みで、コスト負担の増大が続く。主要4樹脂の国内出荷数量も前年同月比および3月比でそれぞれ1〜7%減少しており、川下産業への影響が広がりつつある。
会長「5、6月は70%前後に回復」と見通し
石化協会長の工藤幸四郎氏は記者会見で「ホルムズ海峡の封鎖という逆風下でも市場が必要とする量はおおむね確保できている」と述べ、供給体制の維持に一定の手応えを示した。今後の見通しについては「5、6月に向けて稼働率は70%前後になるのではないか」との予測を示した。
定期修理中の設備が順次稼働を再開すれば、稼働率の持ち直しが期待される。ただし、2025年には主要3樹脂の出荷数量が平均を上回る水準で推移していたことを踏まえると、足元の落ち込みは顕著である。ナフサ調達コストの高止まりが長期化すれば、化学メーカーの収益を一段と圧迫する可能性がある。
主要樹脂の出荷好調
主要3樹脂の出荷数量が年間平均を上回る水準で推移し、底堅い需要が見られた。
稼働率が6割台に低下
国内4基の設備で定期修理が実施され、稼働率が低下。中東情勢の緊迫化による影響も顕在化した。
過去最低の67.3%を記録
統計開始以来の最低水準を更新。生産量は前月比で微増したものの、記録的な低水準が続く。
石化協による実績発表
工藤会長らが記者会見を行い、現状の供給確保状況と今後の稼働率回復の見通しを説明した。