2026/5/3
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国際

米国防総省、駐独米軍から約5000人の撤収方針を公表 米独関係に新たな波紋

要約

米国防総省はドイツ駐留米軍から約5000人を撤収させる方針を公表した。トランプ大統領が削減の可能性を表明した直後の決定となり、欧州の安全保障体制に影響を与える可能性がある。

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米国防総省は、ドイツに駐留する米軍から約5000人を撤収させる方針を公表した。トランプ大統領が4月30日にドイツ駐留米軍の削減の可能性について「近く決定する」と明らかにしていたが、わずか2日後に具体的な規模が示された形だ。

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※画像はイメージです

撤収の規模と背景

今回の撤収対象は約5000人で、現在ドイツに駐留する約3万6000人強の米軍のうち、およそ14%に相当する。撤収の具体的な開始・完了時期や、撤収後の部隊の移動先については明らかにされていない。

トランプ大統領は以前から、NATO加盟国が国防費目標を達成していないことを批判しており、ドイツに対しても安全保障上の負担が不十分だと不満を表明してきた。今回の撤収検討の背景には、ドイツのメルツ首相がイラン戦争に関するアメリカの対応に批判的な発言をしたことへの不満があるとみられている。

トランプ政権で再燃した撤収論

トランプ大統領は前政権時代にも、ドイツ駐留米軍の大規模な削減・撤収を検討していた。当時は約1万2000人から3万5000人規模の撤収が報じられ、東欧やアメリカ国内、他のNATO加盟国への再配置が計画されていた。しかし、バイデン大統領が就任後にこの計画を凍結した経緯がある。

トランプ大統領の再登板に伴い、同盟国への負担増を求めるアメリカ・ファースト路線が再び前面に出ている。NATO加盟国に対してGDP比2%以上の防衛費支出を求めてきたトランプ大統領にとって、ドイツの対応は依然として不十分と映っているようだ。

欧州安全保障への影響は

ドイツは第二次世界大戦後から冷戦期を経て、NATOの重要拠点として位置づけられてきた。アメリカ欧州軍(EUCOM)やアフリカ軍(AFRICOM)の司令部が置かれるシュトゥットガルト、米空軍の欧州司令部機能を持つラムシュタイン空軍基地など、欧州・中東・アフリカへの軍事作戦における兵站・医療・訓練のハブとしての役割を担っている。

約5000人の撤収がこうした戦略的機能にどの程度の影響を及ぼすかは現時点では不明だが、ロシアのウクライナ侵攻や中東情勢の緊迫化が続くなか、欧州の安全保障環境に新たな波紋を広げる可能性がある。