ハンガリーでマジャル氏が新首相に就任 16年ぶりの政権交代が実現
要約
オルバーン前首相による16年間の長期政権が終焉し、中道右派の新興政党「ティサ」を率いるマジャル・ペーテル氏が2026年5月9日に新首相に就任した。低迷する経済の立て直しを最優先課題に掲げる。
16年ぶりの政権交代、マジャル新首相が就任
ハンガリーで16年ぶりとなる政権交代が実現した。2026年5月9日、中道右派の新興政党「ティサ(尊重と自由)」を率いるマジャル・ペーテル氏が新首相に就任し、ヴィクトル・オルバーン前首相による長期政権に幕が下りた。
マジャル新首相は就任にあたり、「国民はハンガリーの歴史に新たな1章を開く使命を与えてくれた」と述べ、低迷する経済成長率の立て直しを最優先課題として強調した。
新興政党「ティサ」の急速な台頭
マジャル氏は1981年生まれの政治家・弁護士・外交官で、もともとはオルバーン政権与党「フィデス=ハンガリー市民同盟」の元党員だった。2024年2月にフィデスへの不満を表明して政府関連の役職を辞任し、同年3月に新党「ティサ」を結成。SNSを巧みに活用して若者や都市部を中心に支持を拡大し、2024年の欧州議会選挙ではハンガリー第2党に躍進した。その後、2026年の総選挙で圧勝し、今回の政権交代を実現させた。
マジャル氏がフィデスと決別
オルバーン政権与党への不満を表明し、政府関連の役職を辞任した。元閣僚の配偶者という立場からの政権批判は国内に大きな衝撃を与えた。
新党「ティサ」結成
中道右派の新興政党として旗揚げした。SNSを駆使した情報発信により、既存政治に不満を持つ若年層や都市部から急速な支持を集めた。
欧州議会選挙でハンガリー第2党に
結党からわずか3カ月で欧州議会選挙に臨み、国内第2党の座を獲得。政権交代への足掛かりを築いた。
マジャル氏が新首相に就任
2026年総選挙での圧勝を経て、議会で正式に首相に選出された。これにより16年続いたオルバーン体制が終焉した。
経済立て直しとEUとの関係が焦点に
ハンガリー経済は近年変動が激しく、2020年にはマイナス4.34%を記録した一方、2021年には7.22%と大きく回復。しかし2025年には0.4%成長にとどまるなど鈍化が続いている。2026年の成長率は1.66%と予測されており、マジャル新政権にとって経済の再建は喫緊の課題となる。
オルバーン前政権は、EUの方針に反対する姿勢を強め、ロシア寄りの外交政策を展開してきた。特にウクライナへの支援を度々阻止し、EUとの関係悪化を招いた経緯がある。マジャル新政権はEUとの関係改善を重要課題に掲げており、ロシア寄りの外交方針からの転換が図られるとみられている。汚職防止や強権的なメディア規制の見直しも新政権の取り組みとして注目される。
今回の政権交代は、ハンガリー国内にとどまらず、EU全体の政治力学にも影響を及ぼす可能性がある。親EU路線への回帰が進めば、ウクライナ支援をめぐる欧州の結束にも変化が生じることになる。具体的な政策内容やEUとの関係修復に向けた工程は、今後の新政権の動向が注視される。