作家・鈴木光司さん死去、68歳 「リング」「らせん」でJホラーブームを牽引
要約
小説「リング」などの著者として知られる作家の鈴木光司さんが5月8日、東京都内の病院で死去した。1990年のデビュー以来、科学的視点を取り入れた独自のホラー作品で世界的なブームを巻き起こした。
鈴木光司さん、68歳で死去
ホラー小説「リング」「らせん」などで知られる作家の鈴木光司(すずき・こうじ、本名・鈴木晃司)さんが5月8日、東京都内の病院で死去した。68歳だった。
鈴木さんは1990年に「楽園」で作家デビューを果たした。翌1991年には、見た者を1週間後に死に至らしめる「呪いのビデオテープ」という設定のホラー小説「リング」を発表。同作はベストセラーとなり、ジャパニーズホラーブームを牽引する存在となった。
「らせん」で吉川英治文学新人賞を受賞
「リング」の続編にあたる「らせん」では吉川英治文学新人賞を受賞。「リング」シリーズはその後も「ループ」「バースデイ」「エス」「タイド」と続き、SF的な要素も取り入れながら日本のホラー文学の新境地を切り開いた。
1998年には「リング」が映画化され、記録的な大ヒットを記録。映画版では原作で男性だった主人公が女性に変更され、貞子が井戸から這い出るシーンなど独自の演出が加えられたことでも話題を呼んだ。この映画を契機に「Jホラー」ブームが巻き起こり、作品は世界中にジャパニーズホラーの名を広める役割を果たした。
ホラーにとどまらない多彩な作家像
鈴木さんの作品は、単なる恐怖描写にとどまらず、分子生物学的な知見を取り入れた科学的アプローチや、人間の生と死、絆といった普遍的なテーマを描く点に独自性があった。デビュー作「楽園」は壮大な冒険ファンタジーであり、SFやファンタジーにも造詣が深かった。
鈴木さん自身は「ホラー映画はまず見ない」と語っており、恐怖体験をジェットコースターに例え、鑑賞後に開放的な気分になるような作品づくりを目指していたという。自身を「文壇界最強の子育てパパ」と称し、子育てに関するエッセイも多く手がけた。近年は純文学への傾倒も見せていた。
具体的な死因は明らかにされていない。