1. 「投資牽引型経済」とは何か\n\n経団連が提唱する投資牽引型経済とは、企業が積極的に設備投資や研究開発投資を行うことで経済成長を実現するモデルです。日本経済はバブル崩壊以降、コスト削減を優先するコストカット型の傾向が続いてきました。経団連は、この路線では国際競争力を維持できないとして、企業が投資を拡大し成長と分配の好循環を生み出す経済構造への転換を求めています。研究開発投資の拡充は、この転換を支える中核的な要素と位置づけられています。\n\n2. 日本の研究開発投資の推移と国際的な位置づけ\n\n日本の研究開発投資の対GDP比3.7%(2023年度)は過去最高水準ですが、過去5年間で研究開発費自体はほぼ横ばいの状態が続いています。一方、中国や米国は研究開発費を着実に増加させており、グローバルな競争環境は厳しさを増しています。政府も2021年から2025年度までの科学技術・イノベーション基本計画で、官民合わせた研究開発投資総額120兆円(対GDP比約4%以上)を目標に掲げた経緯があります。今回の経団連の提言は、この流れをさらに加速させるものです。\n\n3. 理系人材不足の背景\n\n2040年に約120万人の理系人材が不足するとの予測の背景には、AIやロボット技術の進展に伴う需要増加があります。事務職が余剰となる一方で、AI・ロボット関連などの理系人材は大幅に不足すると見込まれています。政府は理系専攻者の割合を現在の約3割から5割程度まで引き上げる目標を掲げています。理系離れの要因としては、労働市場における待遇格差や数学への苦手意識、理系は報われにくいといった社会的イメージなどが指摘されています。