2026/5/15
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国内

政府、再審制度見直す刑訴法改正案を閣議決定 冤罪救済の迅速化へ

要約

再審制度の抜本的見直しを盛り込んだ刑事訴訟法改正案が閣議決定された。検察官による抗告の原則禁止を本則に明記し、長年「開かずの扉」と批判されてきた再審手続きの改善を目指す。

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再審制度を見直す刑訴法改正案を閣議決定 政府は5月15日、再審制度を見直すための刑事訴訟法改正案を閣議決定した。冤罪被害者の早期救済を目的とし、検察官による抗告(不服申し立て)を原則禁止する規定を刑事訴訟法の本則に明記する内容となっている。
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※画像はイメージです
日本の再審制度は長年にわたり「開かずの扉」と評され、冤罪被害者の救済が進まない構造的な問題が指摘されてきた。再審開始決定が出されても検察官が抗告を行うことで救済が大幅に遅れる事例が相次ぎ、制度改正を求める声が高まっていた。袴田事件では再審開始決定から実際に再審が始まるまでに約9年を要したケースもある。 ## 検察官の抗告を原則禁止へ 改正案の柱は、再審開始決定に対する検察官の抗告を原則として禁止する点にある。従来、検察官の抗告権限は再審制度の迅速化を妨げる最大の要因として批判されてきた。今回の改正案では例外的な抗告を認める規定も残されているものの、原則禁止を本則に盛り込むことで、冤罪被害者の救済を早める狙いがある。また、再審請求手続きにおける証拠開示についても、従来は裁判所や検察官の裁量に委ねられており明確な規定がなかったことから、重要な証拠が開示されにくい状況が問題視されていた。 ## 長年の議論を経て実現 再審制度の見直しは、日本弁護士連合会をはじめとする関係団体が証拠開示の制度化や検察官の抗告禁止を強く求めてきた経緯がある。近年、再審無罪判決が確定した事件が複数報じられたことで市民の関心も高まり、改正の機運が醸成されてきた。法務省が当初提示した改正案に対しては、冤罪被害者の早期救済につながらないとの反発があり、複数回の修正を経て現在の案に至った。自民党内でも議論が行われ、検察官の抗告を原則禁止とする修正案が了承されている。改正案には再審無罪が確定した人への補償制度の創設も盛り込まれており、冤罪によって失われた人生に対する国家的な責任を果たす一歩として位置づけられている。今後、国会での審議を経て法案の成立を目指すこととなる。