2026/5/21
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経済

4月の中東産原油輸入量、前年比67.2%減 財務省貿易統計で判明

要約

財務省が公表した4月の貿易統計で、中東からの原油輸入量が前年同月比67.2%減少したことが明らかになりました。ホルムズ海峡の緊迫化に伴う供給制約が日本のエネルギー安全保障に深刻な影響を及ぼしています。

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中東産原油、前年比67.2%の大幅減

財務省が公表した4月の貿易統計で、中東地域からの原油輸入量が前年同月比67.2%減少したことが明らかになった。日本の原油輸入の約9割を中東地域に依存する中、ホルムズ海峡の情勢が供給に深刻な影響を及ぼしている実態が浮き彫りとなった。

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日本は原油のほぼ全量を海外からの輸入に頼っており、その大部分が中東産である。ホルムズ海峡はサウジアラビアやUAE、クウェートなど主要産油国からの輸送ルート上にあり、世界の原油取引量の約34%が通過する要衝とされる。同海峡の通航が困難になったことで、日本向けの原油供給が物理的に制約を受けている。

エネルギー安全保障に改めて課題

67.2%という減少幅は、近年の輸入量の変動と比較しても際立って大きい。2024年度の原油輸入量は前年度比5.9%減にとどまっており、今回の減少がいかに異例の水準であるかがうかがえる。

日本のエネルギー政策は長年にわたり「脱中東」を掲げてきたが、中東依存度は依然として高い水準で推移してきた。2024年度の中東依存度は約95.9%に達しており、構造的な脆弱性が今回の事態で改めて露呈した形だ。

経済・国民生活への波及懸念

原油供給の大幅な減少は、エネルギー価格の上昇を通じて経済全体に波及する可能性がある。ガソリン価格や物流コストの上昇にとどまらず、石油化学製品の原料となるナフサの不足や価格高騰は製造業の生産活動にも影響を及ぼしかねない。食料品や日用品の価格上昇を通じて、国民生活への負担増大も懸念される。

ホルムズ海峡を迂回するパイプラインなどの代替ルートは存在するものの、その輸送能力には限界がある。エネルギー源の多様化や再生可能エネルギーの導入拡大といった中長期的な対応の必要性が、改めて問われている。