EVモーターズ・ジャパンが民事再生法を申請 負債約57億円、万博バス提供の商用EVメーカー
要約
大阪・関西万博でEVバスを提供した商用EVメーカー、EVモーターズ・ジャパンが経営に行き詰まり民事再生法を申請しました。2025年11月にはブレーキホースの不具合で85台のリコールを届け出ており、品質問題と不具合による資金繰りの悪化が経営を圧迫しました。
負債約57億円、東京地裁に申請
商用電気自動車(EV)メーカーのEVモーターズ・ジャパン(福岡県北九州市)は4月14日、東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請し、同日付で保全命令を受けた。負債総額は2026年3月末時点で約57億円に上る。今後はスポンサーを募り、経営の立て直しを図る方針である。
同社は2019年に設立され、主に電気バスや電動物流車などの商用EVを手掛けてきた。中国メーカーに製造を委託するファブレス企業として事業を展開し、2023年末には北九州市に国内初の商用EV専用量産組立工場「ゼロエミッションe-PARK」を完成させるなど、国内生産体制の構築を進めていた。
万博でのEVバス提供と相次ぐ不具合
同社のEVバスは、2025年大阪・関西万博の会場へのアクセス手段として運行された実績がある。万博仕様の大型EV路線バスを出展し、持続可能なモビリティの提供をアピールしていた。
しかし、万博期間中には同社製EVバスで走行中に停止するなどの不具合が相次いだ。大阪メトロは万博後に予定していた路線バスなどへの転用を断念。国土交通省は、大阪メトロに交付した補助金の返還を求める方針を示している。
リコールと経営悪化の経緯
品質問題は万博でのトラブルにとどまらなかった。同社が販売したEVバスではブレーキホースの不具合が発生し、2025年11月には中型EVバス85台のリコールを国土交通省に届け出ている。使用を続けるとブレーキの効きが悪くなる恐れがあるとされた。国土交通省は2025年10月に同社への立ち入り検査を実施していた。
国土交通省が立ち入り検査
EVバスのブレーキホース不具合などの品質問題を受け、監督官庁である国土交通省が同社に対する立ち入り検査を実施した。
85台のリコールを届け出
ブレーキホース損傷により制動力が低下する恐れがあるとして、中型EVバス計85台のリコールを国土交通省に届け出た。
佐藤裕之社長が退任
一連の品質不備と不具合問題の経営責任を取り、創業者である佐藤裕之社長が退任を発表。技術顧問としての残留を予定していた。
民事再生法の適用を申請
東京地裁に民事再生法の適用を申請し、受理された。負債総額は直近の2026年3月末時点で約57億円に達している。
一連の不具合問題の経営責任を取り、2026年2月には佐藤裕之社長が退任を発表していた。今回の民事再生法申請は、品質問題に起因する信用の失墜と、それに伴う資金繰りの悪化が直接的な要因とされている。
日本のEV市場はハイブリッド車が主流で、EV・PHEVの新車販売比率は2025年時点で約3〜4%にとどまる。商用EV分野に特化し国内生産体制の構築を目指した同社だが、度重なる品質問題とリコール、万博でのトラブルが経営を圧迫し、再建の道を模索することとなった。