政府、石油の民間備蓄放出を1カ月延長 備蓄量引き下げ措置を継続
要約
中東情勢の緊迫化に伴うホルムズ海峡の航行リスクを背景に、政府は民間備蓄の義務量を通常の70日分から55日分に引き下げる緩和措置の1カ月延長を決定しました。
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民間備蓄放出の緩和措置を1カ月延長
政府は4月15日、石油の民間備蓄放出を1カ月延長し、備蓄量の引き下げ措置を16日以降も継続して維持することを決定した。中東情勢の緊迫化によるホルムズ海峡の航行リスクが続く中、石油製品の安定供給を確保するための対応である。
民間備蓄は石油備蓄法により石油元売業者などに義務付けられているもので、通常は70日分の備蓄が求められている。今回の措置により、義務量は55日分に引き下げられた状態が維持される。放出された分は市場に供給され、石油製品の供給途絶リスクの低減につなげる狙いがある。
背景にホルムズ海峡の航行リスク
今回の延長は、ホルムズ海峡の事実上の封鎖により中東からの原油輸入が大幅に減少する見通しであることが背景にある。日本は原油の約9割を中東からの輸入に依存しており、同海峡の情勢悪化はエネルギー供給に直接的な影響を及ぼす。
政府は国家備蓄の放出も1カ月延長しており、国際エネルギー機関(IEA)による協調放出とも連携している。官民合わせた石油備蓄は2026年3月時点で約8カ月分あり、当面の供給には一定の余裕があるとされる。
石油元売各社への協力要請も
政府は石油元売大手のENEOS、出光興産、コスモエネルギーホールディングスに対し、病院や公共交通機関などの重要施設への直接販売を要請するなど、供給網の維持・強化に向けた協力を求めている。
石油備蓄の放出は価格抑制を主目的とした制度ではないが、供給不安の払拭や市場の安定化を通じて、価格の急騰を間接的に抑える効果が期待されている。中東情勢の不確実性が続く中、政府は引き続きエネルギー供給の安定に向けた対応を進める方針である。