南極観測船「しらせ」後継船、海自が運航撤退案を提示 人員不足が背景
要約
南極観測船「しらせ」後継船の検討委員会初会合で、文部科学省と防衛省が海上自衛隊の運航撤退案を提示した。後継船の所有・運用主体は海洋研究開発機構(JAMSTEC)とする方針が示されている。
JAMSTEC南極観測文部科学省海上自衛隊防衛省
海自、南極観測船の運航から撤退へ
南極観測船「しらせ」の後継船について話し合う検討委員会の初会合が16日に開催され、文部科学省と防衛省が海上自衛隊による運航からの撤退案を提示した。撤退後も一部の隊員を派遣し、輸送支援は継続する方針だ。
撤退案の主な理由は、海上自衛隊が直面する深刻な人員不足である。南極観測という長期にわたる特殊な任務に継続的に人員を充てることが難しくなっている状況が背景にある。
後継船の運用主体はJAMSTECへ
委員会では、後継船の所有および運用の主体を海洋研究開発機構(JAMSTEC)とする方針が示された。現在の「しらせ」は文部科学省の予算で建造され、海上自衛隊が運用を担う体制をとっているが、後継船ではこの枠組みが大きく変わることになる。
海上自衛隊は1965年度の第7次南極地域観測以降、約60年にわたり砕氷艦による物資輸送や観測支援を担ってきた。今回の撤退案が実現すれば、日本の南極観測体制は歴史的な転換点を迎える。
当面は自衛官が乗船しサポート
撤退後の運航についても課題は多い。南極海域の航海には高度な経験と技術が求められるため、運用がJAMSTECに移行した後も、当面は自衛官が乗船してサポートする形が想定されている。
現在の「しらせ」は2009年の就役から15年以上が経過しており、2034年度頃の退役が見込まれている。後継船の建造・検討には約10年を要するとされ、今回の初会合はその具体的な議論の出発点となった。派遣される隊員の人数や役割の詳細、JAMSTECが運用主体となる際の予算確保や体制構築の計画など、今後の検討課題は山積している。