出光丸のホルムズ海峡通過、イランへの通航料「払っていない」と政府関係者
要約
日本の大型原油タンカー「出光丸」がホルムズ海峡を通過した際、イラン側に通航料を支払わなかったことが政府関係者の説明で明らかになった。イランが通航料徴収の方針を打ち出す中、日本側の対応が注目される。
日本の大型原油タンカー「出光丸」がホルムズ海峡を通過する際、イラン側に対して通航料を支払っていなかったことが明らかになった。政府関係者が「(ホルムズ海峡通過に当たり)通航料は払っていない」と説明した。
イランの通航料徴収方針と国際法上の位置づけ
ホルムズ海峡は世界の石油供給量の約20%が通過する海上交通の要衝である。イランは米国およびイスラエルとの戦争開始以降、同海峡を事実上封鎖する措置をとっており、友好国とみなす船舶に対して通航を許可する代わりに、1バレルあたり約1ドルの通航料を徴収する方針を打ち出している。
国際法上、ホルムズ海峡は「国際海峡」に該当し、すべての国の船舶に「通過通航権」が認められていると広く理解されている。日本政府はイランによる事実上の封鎖を国際法違反とみなし、解除を求めている立場だ。
日本とイランで異なる主張
今回の出光丸の通過をめぐっては、日本とイランの間で見解の相違がある。日本政府は、通航料を支払わずに海峡を通過したと説明する一方、イラン国営メディアは「イランの許可を得て通過した」と報じている。日本側は自由航行の原則と外交成果を強調したい考えであるのに対し、イラン側は海峡における管理権と選別通航の実態を演出する狙いがあるとみられる。
通航料の経済的影響と制裁リスク
仮にイランの通航料が徴収される場合、大型原油タンカー1隻あたり最大約200万ドル(約3億2000万円)のコストが上乗せされるとの試算がある。日本のエネルギー調達コストへの影響は大きい。
さらに、米国OFAC(外国資産管理局)はイラン政府やイスラム革命防衛隊への通航料支払いが制裁リスクを伴うと明記しており、通航料の支払いは経済的負担だけでなく、国際的な制裁の観点からも慎重な判断が求められる状況にある。日本政府は船員の安全確保と原油の安定供給を最優先としつつ、イランとの対話を模索している。