日比防衛相会談、中古護衛艦「あぶくま」型の輸出協議開始で合意
要約
小泉防衛相とフィリピンのテオドロ国防相がマニラで会談し、退役予定の「あぶくま」型護衛艦の輸出に向けた作業部会設置で合意した。実現すれば2024年の防衛装備移転三原則改定後、初の殺傷能力を持つ兵器の輸出案件となる可能性がある。
武器輸出解禁後初の案件となる可能性
小泉進次郎防衛相とフィリピンのテオドロ国防相は5日、マニラで会談し、海上自衛隊が退役を予定している「あぶくま」型護衛艦の輸出に向けた協議を開始することで合意した。日本政府は政策・運用・装備の各部門を含む作業部会を設置し、具体的な調整に入る。
2024年4月に防衛装備移転三原則および運用指針が改定され、殺傷能力のある武器輸出が全面的に解禁された。今回の護衛艦輸出が実現すれば、改定後初の案件となる可能性がある。
小泉防衛相は会談後、運用指針などの改定について「地域と世界の平和と安定に対する日本の貢献をさらに強化するものだ」と述べた。テオドロ国防相は日本の運用指針改定に対し、支持と期待を示した。
就役30年超の全6艦が退役予定
輸出協議の対象となる「あぶくま」型護衛艦は、就役から30年以上が経過しており、全6艦が退役方針となっている。沿岸防備を担ってきた艦級で、フィリピンへの移転が実現すれば、中古護衛艦としては初の海外輸出事例となる。
日本はこれまでにもフィリピンに対し、TC-90練習機の有償貸与や警戒管制レーダーの装備移転といった防衛装備・技術協力の実績がある。今回の護衛艦輸出は、南シナ海などにおける海洋安全保障協力の強化という文脈に位置づけられる。
自衛隊法改正が課題に
ただし、輸出実現に向けては法的な課題が残る。現行の自衛隊法116条の3では、不用品の譲渡に関する規定があり、武器の無償・安価での譲渡が制限されている。フィリピン側の取得条件によっては、この規定が障壁となる可能性がある。
政府はこの課題を解消するため、来年の通常国会での自衛隊法改正を目指す方針である。法改正が実現すれば、退役装備品を安価または無償で友好国に譲渡する道が開かれることになる。
作業部会での具体的な調整内容や、譲渡価格、輸出の完了時期などの詳細は今後の協議に委ねられる。