完全養殖ウナギ、世界初の試験販売へ 水産庁が29日から開始を発表
要約
水産庁は19日、天然のシラスウナギに依存しない完全養殖ウナギの試験販売を29日から開始すると発表した。エサ代や人件費などのコスト削減に成功し、世界初の試みとして注目される。
水産庁は19日、完全養殖によるウナギの試験販売を29日から開始すると発表した。完全養殖ウナギの販売は世界初の試みとなる。
コスト削減が実現を後押し
完全養殖ウナギは、天然のシラスウナギを捕獲して育てる従来の養殖とは異なり、卵からふ化させた仔魚をシラスウナギまで育て、さらに成魚にする技術で生産される。これまでは生産にかかるエサ代や人件費が大きな課題となり、商業化のめどが立っていなかった。
水産庁によると、技術開発の進展によりこれらのコスト削減に成功し、今回の試験販売に踏み切ることとなった。具体的な販売場所や価格、数量については明らかにされていない。
絶滅危惧種ニホンウナギの安定供給に光
ニホンウナギは国際自然保護連合(IUCN)により絶滅危惧種に指定されており、天然シラスウナギの漁獲量は1960年代以降、大幅に減少してきた。現在の養殖ウナギは天然シラスウナギに依存しているため、供給不安や価格高騰が続いている。
完全養殖の技術は、2010年に国立研究開発法人水産研究・教育機構が世界で初めて成功したものの、1尾あたりの生産コストが極めて高く、実用化には至っていなかった。その後、水産庁の委託事業などを通じて技術開発が進み、生産コストの大幅な低減が実現した。
食料安全保障の観点からも注目
ウナギは日本の食文化に深く根付いた食材だが、資源の減少と価格高騰により消費者にとって手が届きにくい存在となっている。完全養殖技術の商業化は、天然資源への依存から脱却し、安定的な供給を実現する道を開くものとして期待される。
国際的にもワシントン条約においてウナギ属の取引規制が議論されるなど、資源管理への関心は高まっている。今回の試験販売は、日本の水産業にとって大きな転換点となる可能性がある。