2026/4/17
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国内

法務省、生成AIによる肖像・声の無断利用で有識者会議設置へ 指針策定目指す

要約

法務省は生成AIによる肖像や声の無断利用について、民法上の責任範囲を整理する有識者会議を設置すると発表した。7月までに5回程度の会合を開き、法的拘束力のない指針をまとめる方針だ。

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有識者会議を設置、7月までに指針策定へ 法務省は17日、生成AIによる肖像や声の無断利用に関する民法上の責任を整理するため、有識者会議を設置すると発表した。
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パブリシティー権や肖像権の侵害にあたるケースを事例ごとに示し、法的拘束力のない指針を策定する。会議は7月までに5回ほど開催する予定だ。 法務省は「立法を前提としたものではない」としており、あくまで現行法の枠組みの中で責任の範囲を明確にする狙いがある。生成AI技術の急速な発展に伴い、声優や俳優などの声や肖像が無断で利用される問題が社会的に顕在化しており、法的な整理が求められていた。 ## 判例頼みの現状に一石 現行のパブリシティー権や肖像権は、法律に明文規定がなく、判例によって認められている状態にある。今回の指針では、民法709条(不法行為)に基づく損害賠償請求の可否について検討するほか、表現の自由との兼ね合いも議論の対象となる。 生成AIが実在の人物に酷似した画像や音声を生成した場合、権利侵害に該当するかどうかの判断基準は確立されていない。侵害を認定する際の具体的な類似性の基準や、声が肖像権の保護対象に含まれるかといった法的解釈、さらには数分程度の短時間の利用が侵害にあたるかなど、未解決の論点は多い。 ## 各省庁で進む生成AI対応 生成AIと権利保護をめぐっては、文化庁がAIと著作権の関係について整理を進めているほか、経済産業省もコンテンツ制作における生成AI利活用のガイドブックを公表している。内閣府の「AI時代の知的財産権検討会」でも、生成AIと著作権、肖像権、パブリシティー権の関係について議論が行われてきた。 業界側の動きも活発化している。日本俳優連合や日本声優事業社協議会などは、実演家の声の権利と生成AIに関する共同声明を過去に発表し、AI学習・利用における本人許諾の必要性を求めてきた。声優有志団体による問題提起の活動も展開されている。 今回の法務省による指針策定は、こうした各方面の議論を踏まえ、民事責任の範囲を具体的に示す初めての試みとなる。立法措置ではなく指針にとどまるものの、生成AIをめぐる権利保護の実務上の判断基準として一定の役割を果たすことが期待される。