1. パブリシティー権・肖像権とは パブリシティー権とは、有名人の氏名や肖像が持つ顧客吸引力を排他的に利用できる権利で、主に商業的な価値を保護するものです。一方、肖像権は憲法13条の幸福追求権に由来する人格権の一部であり、みだりに自己の容貌などを撮影されたり公表されたりしない権利です。いずれも法律に明文化されておらず、裁判所の判例によって認められてきた権利である点が特徴です。 2. 民法709条と不法行為 民法709条は「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」と定めています。肖像権やパブリシティー権の侵害についても、この規定を根拠に損害賠償請求が行われてきました。今回の有識者会議では、生成AIによる利用がこの不法行為に該当するかどうかの判断基準が議論されます。 3. 生成AIをめぐる国内外の動き 国内では2024年に内閣府の「AI時代の知的財産権検討会」が中間とりまとめを公表し、声に関する権利の整理が示されました。日本俳優連合や日本声優事業社協議会なども共同声明を発表し、AI学習における本人許諾の必要性を訴えています。海外では、米国で著名アーティストの声を利用したAI生成楽曲が問題となったほか、EUではAI法が発効し、AI生成物の表示義務などが定められています。各国で既存の法的枠組みだけでは対応しきれない部分への対策が進んでいます。