1. 日本の資源外交とエネルギー安全保障 日本はエネルギー資源の大部分を海外からの輸入に依存しており、特に原油や天然ガスについては中東地域への依存度が高い状況が続いています。中東情勢が不安定化した場合、ホルムズ海峡などの重要な輸送路が影響を受ける可能性があり、供給リスクが高まります。こうした背景から、調達先の多角化は日本のエネルギー政策における長年の課題です。オーストラリアはLNG(液化天然ガス)や石炭の主要供給国として、エネルギー安定供給の観点から日本にとって極めて重要なパートナーとなっています。 2. 重要鉱物のサプライチェーン強靱化 レアアースやリチウム、コバルトといった重要鉱物は、半導体や電気自動車(EV)のバッテリー、防衛装備品など先端産業に不可欠な素材です。これらの鉱物は供給元が特定の国に偏る傾向があり、地政学的リスクへの対応としてサプライチェーンの多元化が各国で進められています。オーストラリアはリチウムやレアアースの世界有数の産出国であり、友好国間での供給網構築を目指す日本にとって重要な連携先です。 3. 経済安全保障推進法と高市政権の方針 2022年に成立した経済安全保障推進法は、サプライチェーンの強靱化、基幹インフラの安全確保、先端技術の開発支援、特許出願の非公開化の4本柱で構成されています。高市首相は同法の策定に経済安全保障担当大臣として関わった経歴を持ち、安全保障と経済成長の両立を政権の重要課題に掲げています。今回のベトナム・オーストラリア訪問も、こうした政策路線の延長線上に位置づけられます。