WBC地上波なし受け、スポーツ中継「ユニバーサルアクセス」議論が本格化
要約
国の有識者会議が5月20日に初会合を開催しました。2026年WBCの独占配信権をNetflixが獲得し地上波中継がなくなる見通しとなったことを受け、NHKや民放各社が放映権高騰への対応について相次いで見解を示しています。
スポーツ中継のあり方を検討する国の有識者会議が5月20日、初会合を開催した。今年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で米動画配信大手Netflixが日本国内の全試合独占配信権を獲得し、地上波での無料放送が実現しなかったことを受けたもので、人気スポーツ大会を誰もが無料で視聴できる「ユニバーサルアクセス」の是非を巡り、放送各局が議論を注視している。
放送各社トップが相次ぎ見解
NHKの井上樹彦会長は同日の定例会見で、「高騰している放送権を何が何でも取得するわけにはいかない。配信事業者との連携も含めた新たな提供の形を模索することも解決策」と述べ、配信事業者との協業の可能性に言及した。
3月のWBC開催時には、TBSの龍宝正峰社長が会見で「我々の知らないところで権利交渉が進んだ」と経緯を明かし、「忸怩たる思い」と率直な心境を吐露。そのうえで「オリンピックとしてのユニバーサルアクセスはありなのではないか」と、制度的な視聴機会の確保に前向きな姿勢を示した。
一方、4月に会見したテレビ東京の吉次弘志社長は「営利企業なので、経済合理性とのバランスは考えざるを得ない。一律の義務付けという形は疑問」と指摘し、制度化に対する慎重な立場を表明。テレビ朝日の西新社長も同月の会見で「先行するイギリスや韓国などの事例をよく研究して、多角的な視点で検討する必要がある」と、海外事例の調査を踏まえた丁寧な議論を求めた。
Netflixの独占配信が判明
2026年WBCの独占配信権獲得が判明。TBSの龍宝社長は権利交渉が放送局の関知しないところで進んだことに忸怩たる思いを表明し、制度導入の検討を提案した。
民放各社社長が相次ぎ言及
テレビ東京の吉次社長が経済合理性とのバランスを訴え、一律の義務付けに疑問を呈した。テレビ朝日の西新社長は英国や韓国などの海外事例を研究する必要性を主張した。
国の有識者会議が初会合
スポーツ中継の視聴機会を検討する有識者会議が始動。同日、NHKの井上会長は配信事業者との連携を新たな解決策とする可能性に言及した。
「公共性」と「経済合理性」の間で
各社の見解は、スポーツ中継を広く国民に届ける公共性と、高騰する放映権料に対する経済合理性の間で揺れる放送業界の現状を映し出している。ユニバーサルアクセスとは、国民的関心の高いスポーツイベントについて、有料放送だけでなく無料放送でも視聴できる機会を確保する概念であり、イギリスや韓国など一部の国で制度化されている。
今回のWBCでは、Netflixが日本国内の独占配信権を獲得したことで、有料の動画配信サービスに加入しなければ試合を視聴できない状況が生まれた。放映権料の高騰が続く中、テレビ局が従来のように放映権を獲得することが困難になりつつある構造的な変化が浮き彫りとなっている。
有識者会議では今後、ユニバーサルアクセスの制度設計や海外事例の分析が進められる見通しだが、具体的な法規制の範囲や財源の議論については不透明な部分が多い。放送局と配信事業者が共存する新たな枠組みを構築できるかが、今後の焦点となる。