NYダウ669ドル急落、グーグル生成AI新モデル発表がSaaS株売りの引き金に
要約
12日のニューヨーク株式市場でダウ平均が669ドル安となった。グーグルが発表した生成AI「Gemini 3」新モデル「Deep Think」の高い性能が、既存ソフトウェア企業の存続リスクを市場に再認識させたことが主因。
ダウ平均669ドル安、5万ドル割れ
12日のニューヨーク株式市場で、ダウ工業株30種平均は前日比669ドル安の4万9451ドルで取引を終えた。取引開始直後は上昇して始まったものの値上がりは限定的で、その後急速に売りが広がった。
急落の主因となったのは、米グーグルが同日発表した生成AI「Gemini(ジェミニ)3」の新モデル「Deep Think」である。
グーグル「Deep Think」が市場を揺るがす
グーグルが発表した「Deep Think」は、科学・工学分野向けの高度な推論能力を備えた生成AIモデルだ。国際数学オリンピックで金メダルレベルの成績を達成し、競技プログラミングでも上位7人程度の人間プログラマーに匹敵する性能を示したとされる。
この発表を受け、市場ではAIが従来の専門ソフトウェアや人間オペレーターの業務を代替するとの懸念が一気に強まった。2月上旬からすでにSaaS(サービスとしてのソフトウェア)関連株への売り圧力が続いており、「Deep Think」の高い性能がその流れを決定的に加速させた形だ。
SaaS関連株の売り、2月だけで285億ドル消失
2月に入ってからのSaaS関連株の下落は深刻さを増している。市場では「SaaSpocalypse(サースポカリプス)」と呼ばれる現象が広がり、48時間でSaaS関連株から285億ドルが消失する場面もあった。
背景には、最新の生成AIモデルが急速に進化し、これまで専門的なSaaSツールと人的リソースを組み合わせて行っていた業務を単独で完結できる水準に達しつつあるとの認識がある。企業のIT投資予算がクラウドサービスからAI関連へシフトする動きも指摘されている。
一方、前日夕に決算を発表したシスコシステムズなどネットワークインフラ企業に対しては、AI関連のハードウェア需要が下支えするとの見方もあるが、ソフトウェア層の収益基盤が揺らげばインフラ投資全体にも波及しかねないとの警戒感が広がっている。