2026/4/1
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経済

トヨタ系労組の賃上げ要求、5年ぶり前年割れ 一時金は過去最高

要約

トヨタグループ製造系123組合の平均賃上げ要求額は月1万7820円で、前年を109円下回った。一方、年間一時金の要求は過去最高の5.29カ月分に達し、経営環境の不透明さと好業績が交錯する構図が浮かび上がった。

トヨタグループ労働組合実質賃金春闘賃上げ

123組合が要求書を一斉提出

トヨタ自動車グループの製造系労働組合は2月18日、2026年春季労使交渉の要求書を会社側に一斉提出した。金額を公表していないトヨタ労組などを除く123組合の平均賃上げ要求額は月1万7820円で、前年を109円下回った。前年実績を割り込むのは5年ぶりとなる。

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全トヨタ労働組合連合会(全トヨタ労連)は1月に決定した要求方針で、前年に記載していた「昨年を超える積み上げ」という文言を掲げなかった。平野康祐事務局長は18日の記者会見で「持続的な賃上げが本当に大きなポイントだ。ただ、単に要求するだけでなく原資を労使で増やせなければ賃上げはできなくなる」と述べ、賃上げ原資の確保を重視する姿勢を示した。

主要グループ各社の要求状況

デンソー労組の賃上げ要求額は前年と同額の月2万3500円だった。デンソーは2026年3月期に最高益を見通している。アイシンと豊田自動織機の要求額も前年と同額にとどまった。

トヨタ労組は平均額を明らかにしていないが、職種・階級ごとに月8590円から2万1580円の賃上げを要求した。

一方、年間一時金の平均要求は過去最高となる5.29カ月分に達した。トヨタの国内生産台数は1日あたり約1万4000台と過去最高の水準にある。

自動車業界で分かれる対応

トヨタ系以外の自動車メーカー労組でも対応が分かれた。マツダ労組は現行制度が始まった2003年以降で過去最高となる月1万9000円の賃上げを要求。一方、ホンダ労組は前年を1000円下回る月1万8500円を要求した。

従業員300人以下の中小組合の賃上げ率は6.06%で全体平均を上回った。全トヨタ労連は中小組合の賃上げが進む背景について「採用が厳しく、上げないと人が来ない状況」と説明している。2025年の春季労使交渉では、加盟組合全体の平均賃上げ額が1万6430円だったのに対し、中小組合は1万5328円にとどまっており、その格差を縮める動きが続いている。

実質賃金マイナスと関税リスク

厚生労働省によると、物価変動の影響を除いた2025年の実質賃金は前年から1.3%減少し、マイナスは4年連続となった。平野事務局長は「物価上昇を超える賃上げを定着させるためには、原資を確保する取り組みが何より大事だ」と強調した。

トヨタは2026年3月期において、トランプ米政権による高関税政策が1兆4500億円の下押し要因になると見込んでおり、経営環境の先行き不透明感が賃上げ要求の慎重姿勢につながったとみられる。