米貿易赤字、2025年に過去最大の1兆2409億ドル 関税の効果限定的
要約
米商務省の発表によると、駆け込み輸入が関税発動後の輸入減少分を打ち消し、モノの貿易赤字は前年比2.1%増の1兆2409億ドルと過去最大を更新した。対中赤字は31.6%減となったが、全体では赤字が拡大した。
過去最大の貿易赤字を記録
米商務省が2026年2月19日に発表した2025年の貿易統計によると、モノの国際収支ベースの貿易赤字(季節調整済み)は1兆2409億ドル(約192兆2千億円)となり、過去最大を更新した。前年比2.1%の増加である。
トランプ大統領が掲げた高関税措置は、貿易赤字の縮小という点では狙い通りの効果を上げなかった。就任前から追加関税を表明していたことで、発動前に駆け込み輸入が膨らみ、その後の輸入減少分を打ち消す結果となった。
輸出入ともに過去最大
2025年のモノの輸入は3兆4384億ドルで前年比4.3%増、輸出は2兆1975億ドルで前年比5.7%増と、いずれも過去最大を記録した。輸出の伸び率が輸入を上回ったものの、赤字幅の縮小には至らなかった。
モノとサービスを合計した貿易赤字は9015億ドルで、前年比0.2%減とほぼ横ばいにとどまった。サービス収支が3395億ドルの黒字を維持したことが、全体の赤字拡大を抑えた形である。
相手国別の動向に明暗
通関ベースでの相手国別の赤字を見ると、対EU赤字が2188億ドルで最大となったが、前年比では7.3%減少した。対中国赤字は2021億ドルで前年比31.6%の大幅減となった。対日本赤字も639億ドル(約9兆9千億円)と前年比7.9%減少している。
個別の相手国・地域との赤字は縮小傾向を見せたものの、全体の貿易赤字は拡大した。2025年8月以降、一律10%の関税に加え新たな「相互関税」が発動されると、モノの輸入は前年水準を下回るようになった。しかし、1月と3月に駆け込み輸入でモノの輸入と貿易赤字が過去最大を更新しており、年間を通じた効果は相殺された。
12月の赤字が急拡大
2025年12月のモノとサービス合計の貿易赤字(国際収支ベース、季節調整済み)は703億ドルとなり、前月比で32.6%増加した。年末にかけて赤字が再び拡大した形である。
2026年11月には中間選挙が予定されており、看板政策である関税措置の効果が限定的にとどまったことは、政権の通商政策の妥当性をめぐる議論に影響を与える可能性がある。