国債費、2029年度に41兆円超へ 3年で10兆円増加し社会保障費上回る見通し
要約
財務省の試算で、金利上昇により2029年度の国債費が41.3兆円に達し、社会保障費を上回る見通しとなった。税収増では歳出増を補えず、財政運営は厳しさを増している。
財務省がまとめた「後年度への影響試算」で、国債の利払いなどに充てられる国債費が今後3年間で約10兆円増加し、2029年度には41.3兆円に達する見通しであることが明らかになった。金利上昇を背景に利払い費が大きく膨らみ、同年度の社会保障費41兆円を上回る見込みだ。
3年で10兆円増、金利上昇が財政を圧迫
2026年度予算案における国債費は31.3兆円。これが2029年度には41.3兆円へと約10兆円増加する試算となった。増加の主な要因は金利上昇に伴う利払い費の拡大である。
国債費とは、過去に発行した国債の元本返済や利払いに充てる費用で、政策的な支出には使えない義務的経費にあたる。金利が上昇すれば、新たに発行する国債の利率が高くなるだけでなく、過去に発行した低金利の国債が満期を迎えるたびに、より高い金利の国債に置き換わっていくため、利払い費は段階的かつ持続的に増加する構造となっている。
社会保障費を上回る歴史的転換
試算で注目されるのは、2029年度に国債費41.3兆円が社会保障費41兆円を上回る見通しとなった点である。これまで日本の歳出構造においては社会保障費が最大の膨張圧力とされてきたが、国債費がそれを超える局面が現実味を帯びてきた。
この構図は、日本の財政が新たな段階に入りつつあることを示している。借金の返済コストが、医療・年金・介護といった国民生活に直結する支出を上回るという事態は、今後の予算編成に大きな制約をもたらすことになる。
税収増では歳出増を補えず
一方、税収は2026年度の83.7兆円から2029年度には95.5兆円へと約11.8兆円の増加が見込まれている。しかし、財務省の試算では歳出全体の増加額が税収の増加額を上回る見通しとなっており、財政収支の改善は見込めない状況だ。
税収が伸びても、それ以上に国債費をはじめとする歳出が膨らむ構造が続けば、さらなる国債発行に頼らざるを得ない悪循環に陥る可能性がある。金利上昇局面における財政運営のかじ取りが、今後ますます重要な課題となる。